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マリーンズの広報にカジワラあり。
謎の魚、“We Are”をあやつる鬼才。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byHidenobu Murase

posted2017/12/29 07:00

マリーンズの広報にカジワラあり。謎の魚、“We Are”をあやつる鬼才。<Number Web> photograph by Hidenobu Murase

ロッテに謎の魚を登場させた人という肩書きだけでも、彼がどれほど異常な存在感を持つ広報マンかが伝わるだろうか。

内川も松田も中田も大谷も西川も“We Are”。

 今シーズン。4月から借金生活が続く中でも、マリーンズの選手とスタンドは鈴木大地を中心に“We Are”を1年間やり切った。そして7月のZOZOマリンスタジアムで行われたオールスター第2戦の試合後、パ・リーグの選手全員が肩を組み“We Are パ・リーグ”とやったのは、歴史に残る名場面となったといえるだろう。

「あの日、大地と2人で内川選手や松田選手の方へ歩いて行ったら、向こうからやろうと言い出してくれたんです。あり得ません。ものすごい流れですよ。野球の神様がいるんじゃないかと思ったぐらいです。さらに中田選手や大谷選手、西川選手なども“We are”を知っていて『やろうやろう』と言ってくれた。ロッテといえば“We are”というのが浸透していている。そのことが本当に嬉しかったですね」

 2017年。球団史上2番目に低い勝率で終わった年。今年の屈辱を胸に、梶原は新たなストーリーを描いている。

「1年間、暗い話題ばかりで、こういう時こそ明るい話題を発信したかったなと思ったんですけど、できなかった。ただ歴史は繋がっているので、ここから先につなげていきたいと思っています。

“12球団イチ魅力があるチームにする”と誓ってから13年、今もまだその場所まで辿り着けていません。そのことに対する僕自身の申し訳なさがあるんです。自分の魂を削ってでもやってやる。燃え尽きて魂が消えるまでにはなんとかしなきゃと責任を感じているんです」

「広報も体力勝負ですからね、あと1~2年しか」

 アイデアが溢れ出て来る一方で、来年で42歳。体力的に広報としての寿命を感じているという。だからこそ、この先の一年一年は広報人生を賭けた勝負の年と位置付けている。

「今年1年間はがむしゃらにやってきて、圧倒的な最下位になり……少々疲れました。広報も体力勝負ですからね。昔みたいに一日に無理矢理8本取材を入れたりするのも、現場の最前線で思いついたことをすぐ形にするようなことも、あと1~2年しかもたないでしょうね。

 来年がひとつの勝負だと思っています。井口新監督での再出発。絶対に面白くなりますよ。チームが強い方が絶対に面白い話題は多いですし、井口さんはずっと現場で一緒にやってきた人。広報活動にも協力的にやってくれますし、ここまで物凄く雰囲気がいいです。

 チームの課題も何が足りなかったかもこれまで見てきていますし、理解度も深い。そして野球に対して厳しさを持っている方です。マリーンズにとって絶対に良いシーズンになりますよ。

 だからこそ、来年は僕らもやりますよ。この頃はTwitterや自分のコラムなどインナーメディアに頼りすぎた部分もありましたが、来年は原点に立ち返ってTVや雑誌、新聞などマスコミ媒体に紹介される選手を増やしたいと思います。

 広報は締める時と開く時があるんですが、来年は徹底的に門戸を開くつもりですよ。もちろんSNSも駆使しますが、通常のメディアとの両輪でチームを徹底的に全身全霊、自分の魂が尽きるほど売り込みます。2005年以来のフィーバーを作ってやろうかなって企んでいます」

 2018年、井口新監督を迎えた千葉ロッテマリーンズの逆襲。そして梶原広報が何を仕掛け、幕張の海に何が生まれてくるのか、注目は尽きない。

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