“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
流経大柏の熊澤和希&関川郁万。
選手権で注目の最強2年生コンビ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/12/29 17:00
激戦区・千葉を勝ち上がった流通経済大柏で定位置を確保した熊澤と関川。冬の主役になる準備は整っている。
「ピッチ外では全然しゃべらない」不思議な関係。
性格的には全く正反対の2人。ピッチ内外で熊澤と関川が言葉を交わすことはあまりないというが、ピッチ上では活発なコミュニケーションと、誰よりも息のあった連係を見せる。
とても不思議な関係性である。
熊澤に、関川をどう思っているか聞いてみたことがある。
「ピッチ上では本当に頼れる存在で、大きい存在。DFラインで跳ね返して、相手の攻撃をシャットアウトしてくれる。それが物凄く安心感があるんです」
逆に関川は、熊澤についてこう話す。
「クマは自分がボールを持ったときに必ず動き出してくれる、一番ボールが出しやすい選手なんです。僕が1つ持ち出したら、そのタイミングで裏に抜けてくれたり、裏のスペースがなかったらスッと落ちて来てくれる。そこにパスを出せば、しっかりキープしてくれる。本当にプレーのイメージがあっていて、やりやすいです」
お互いを認め合い、それぞれの特徴を熟知している。「ピッチ外では全然しゃべらないですね」と関川は言うが、言葉を介さなくても、感覚やイメージの共有で感じ合えるのだ。
U-17W杯に選出されなかったことをバネにして。
そして彼らに共通しているのは、これだけの能力を持ちながらU-17W杯(インド)のメンバーに選出されなかったこと。
熊澤はボランチとして招集されたことがあるが、「最初入ったときには、自分の持っている力をなにも出せないまま終わってしまった」と、早い段階で代表に呼ばれなくなってしまった。
「U-17W杯を見ていても、平川怜(FC東京U-18)、福岡慎平(京都サンガU-18)は自分より数段上手くて、サッカーへの理解力も自分より高かった。差があると思ったし、外れても当然だと思ったんです。でも、今はそう思わない。入れなかったことが悔しい。当然と思っている時点で、成長が止まってしまうので」
一方の関川は、昨年のAFC U-16選手権(インド)の最終メンバーに高体連で唯一入っていたが、直前合宿で負傷離脱し、インドで戦うことはできなかった。その後もU-17日本代表の遠征に選出されることはあったが、本大会メンバーからは落選してしまった。
「悔しかったけど、それが自分の実力だと思った。なぜ入らなかったのかを考えた。やっぱり集中力とか、前には強いけど後ろに弱いとか……。改めて自分の欠点に気づけたので、それ以降は意識して取り組むようになりました。試合中でも、練習中でもとにかく良く声を出して、集中力が切れないように常に頭を回転させたり、自分から発信することを意識した。両足のキックもそうですし、そして両足の踏み込みをやったことで、裏への対応力も上がって来た。反転しての守備がかなりスムーズになって来たと思います」