酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平の兄も選手って知ってた?
なぜか大物兄弟が少ないNPB。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2017/11/29 07:00
ここ近年最も愛されたのは「新井兄弟」。弟・良太(左)が今季限りで引退したが、阪神時代の貴浩とチームメートになったことも。
「喝!」の大沢親分、実は末弟だった。
続いては「大沢3兄弟」。彼らについて、今や知る人も少ないかもしれない。
長兄:大沢清 5316打数1439安打 46本塁打669打点 打率.271
次兄:大沢紀三男 1勝1敗 防御率3.35
末弟:大沢啓二 2075打数501安打 17本塁打191打点 打率.241
元祖「喝!」の大沢親分だが、16歳上の長兄・大沢清には頭が上がらなかった。大沢清は草創期の名古屋(現中日)、東急、大洋、広島で活躍。二塁打が多く、1リーグ時代では川上哲治に次ぐ名一塁手だった。引退後、国学院大学教授になっている。
ちなみに大沢親分は南海の外野手。快速で守備範囲が広かった。立教大で長嶋茂雄の2学年上、長嶋を南海に勧誘した逸話もある。
話は戻るが、日本で兄弟選手がそろって活躍しないのは、「何かと兄弟を比較したがる」風習があるからかもしれない。兄が弟より出来がいいと「賢兄愚弟」、反対だと「愚兄賢弟」と言われる。ほっといてやれよと言いたくなるが、日本人はそういうのが気になるのだ。
昔の商家は跡取りの長男に家を継がすと、弟には別の商売をさせたという。兄弟が同じ商売で争うのは良くないと考える風習もあったのも、影響しているかもしれない。
大谷翔平の6歳上の兄、龍太は独立リーグを経験。
そういえば今をときめく、大谷翔平も「兄弟選手」なのをご存じか?
兄:大谷龍太 277打数60安打 4本塁打23打点 打率.217(四国アイランドリーグplus)
弟:大谷翔平 1035打数296安打 48本塁打166打点 打率.286、42勝15敗 防御率2.52
兄・龍太は翔平の6歳上。前沢高校から地元野球クラブを経て四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスで2年間、外野手としてプレー、その後、トヨタ自動車東日本でコーチ兼外野手として活躍している。兄も187cm87kgの大型選手だ。
そのキャリアは弟のように華やかではないが、地道に経験を積んでいることがわかる。弟翔平はいま、人生の岐路に立っているが、こういう兄がいるのは心強いことだろう。良いアドバイスを送っているのではないか。