酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平の兄も選手って知ってた?
なぜか大物兄弟が少ないNPB。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2017/11/29 07:00
ここ近年最も愛されたのは「新井兄弟」。弟・良太(左)が今季限りで引退したが、阪神時代の貴浩とチームメートになったことも。
400勝投手、金やんの弟も128勝を挙げていた。
メジャーに比べて日本の兄弟選手は数も少ないし、揃って成績を挙げている例は数えるほどだ。真っ先に上がるのが、金田兄弟だろう。
兄:金田正一 400勝298敗 防御率2.34
弟:金田留広 128勝109敗 防御率3.25
正一と留広の間に金田高義・金田星雄という兄弟がいて、どちらも正一と同じ国鉄に入団したが一軍経験なし。2人は13歳離れていたが、1969年のオールスターで東映の弟留広がルーキーながらマウンドに上がると正一が代打で登場した。結果はセカンドフライで弟の勝ち。正一はこの年限りで引退。
兄は左腕、弟は右腕だったが、マウンドにのっしのっしと上がるところはそっくりだった。
甥っ子は広島などで72勝した金石昭人だ。
正一の息子で役者の金田賢一は「親父は、国鉄がJRに代わっても、おー、といって改札を顔パスしてました」と言ったことがあるが、今はどうなんだろう。
打者では圧倒的なのがこの兄弟である。
兄:レロン・リー 4934打数1579安打 283本塁打 912打点 打率.320
弟:レオン・リー 4667打数1436安打 268本塁打 884打点 打率.308
ともに金田正一監督のロッテで活躍。4年間、兄弟そろって規定打席入り。同一チームで兄弟が規定打席に達したのはNPBではこの1組だけ。100試合以上同一チームでそろって出場したのも他には2012、'13年の阪神の新井貴浩、新井良太兄弟だけだ。
リーの兄は左打者、弟は右打者。風貌はよく似ていた。兄はNPB史上打率1位に君臨している(4000打数以上の打者に限る)。
弟は、ロッテから大洋、ヤクルトと渡り歩いた。短期間だがオリックスの監督もしたことがある。息子のデレク・リーはMLBで1959安打331本塁打のスラッガーとしても知られている。
風貌だけでなくプレーまでそっくりの河埜兄弟。
印象が良く似ていたのは“この兄弟”である。
兄:河埜和正 4195打数1051安打 115本塁打 416打点 打率.251
弟:河埜敬幸 5160打数1384安打 85本塁打 493打点 打率.268
兄は巨人、弟は南海でともに内野手として活躍。風貌もそっくり。スナップスローをピュッと投げるのが得意だったのも同じ。職人兄弟という感じだった。兄弟そろって1000本安打したのはリー兄弟とこの河埜兄弟だけ。もっとさかのぼってみると野口4兄弟がいる。
長男:野口明 4666打数1169安打 61本塁打 572打点 打率.251、49勝40敗 防御率2.54
次男:野口二郎 3594打数830安打 9本塁打 368打点 打率.248、237勝139敗 防御率1.96
三男:野口昇 634打数115安打 2本塁打 39打点 打率.181
四男:野口渉 56打数8安打 0本塁打 2打点 打率.143
この4兄弟の人生は、今夏NHKで「1942年のプレイボール」というドラマになった。
長兄・明は捕手、次兄・二郎は投手として大洋でバッテリーを組んでいたが、ともに二刀流だった。なお二郎は殿堂入りしている。昇は阪神の内野手だったが戦死。渉は戦後、南海(グレートリング)で少しプレーした。