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阪神ドラ5谷川昌希はタフな成長株。
先輩・ロッテ有吉優樹からのエール。 

text by

永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byKyodo News

posted2017/11/26 11:30

阪神ドラ5谷川昌希はタフな成長株。先輩・ロッテ有吉優樹からのエール。<Number Web> photograph by Kyodo News

1週間に6試合戦うプロの場では何試合も投げられるタフさは武器となる。谷川は甲子園のマウンドで持ち味を発揮できるか。

「有吉さんがいるから」からの脱却。

 この日、観戦に訪れていた同社OBで、今季から千葉ロッテでプレーする有吉優樹も谷川の成長についてこんなことを漏らしていた。

「今年はたぶん、先発としてはアイツの一本柱のチームだったと思うんです。その中で最後まで自分が投げようという気持ちが見えましたし、自立したって言ったらあれですけど、俺が引っ張ってやるっていう強い意志を感じましたね」

 昨年まで谷川は、先輩の有吉に隠れるような存在で、自分から前に出るタイプではなかった。

「正直、昨年までは自分の中で『有吉さんがいるから』と頼っていた自分がいたというか、甘えがあったのは間違いないです。『結局、大事な試合は有吉さん』というのが自分の中でもありましたし、有吉さんが抜けてからも自分の中で一皮剥けられずにいました。

 指導者の方からも『このままじゃダメだな』って話をされて、何かを変えないといけないと自分でも思っていて、立て直しました。『このチームを自分が引っ張っていかないと他は誰もいない』という意識に変えました。それからは都市対抗の九州予選でもちゃんと投げられたし、それ以降も1人で投げ切るくらいの気持ちでずっと投げてきましたね」

アジア選手権では韓国相手に圧巻のピッチング。

 9月下旬に招集された侍ジャパン社会人代表でも、背番号18を託された。都市対抗、日本選手権予選と、ここ一番で頼りになる今年の彼ならば、当然の結果のようにも思えた。

 同27日に行われた千葉ロッテ二軍との練習試合でも、チェックポイントをひとつひとつ確認し、本番前の調整を行った。

 結果は5回81球で3安打に抑えるまずまずの投球だった。レフト側に強く吹いていた風の影響で2本塁打を浴びたが、社会人代表監督を務める石井章夫の顔も自然と綻んでいた。

「ブルペンでも相当良い状態でしたね。(日本選手権)予選から時間が経っていたので、本人も試合勘が戻るまでという話の中でやっていました。低めのボール球も多かったですが、本番を意識した中でこのような投球が出来たのは凄い収穫だと思っています。良いシいいステップを踏めたと本人も言っていましたし、もともと投げ込んで良くなるピッチャーですからね」

 石井監督の言葉どおり、谷川は「BFAアジア選手権スーパーラウンド」の初戦・韓国戦で先発を任せられると相手打線を8回無失点でねじ伏せた。低めで伸びるストレートは球速上のスピードを感じさせ、切れ味鋭いスライダーは両サイド低めに丁寧にコントロールされ、韓国打線を完璧に封じ込んだ。

【次ページ】 谷川のポテンシャルについて有吉に聞くと……。

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