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オグリキャップとホーリックス。
ジャパンカップ「2.22.2」の伝説。
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph byJRA
posted2017/11/26 08:00
ゴールまで400mの地点で9番人気のホーリックスが先頭に立った。それをオグリキャップが必死に追走するも、クビ差及ばなかった。
瀬戸口は「ほんと、よう走った」と何度も口にした。
「ほんと、よう走ったと思うよ」
瀬戸口は28年前のレースを思いだしながら、何度もそう口にした。
「あれが、うしろのほうだったら批判が多くなったと思う。2着だから、だれも連闘が響いたとは言えなかった。悔しいけど、よう走った」
そして瀬戸口は「結果論だが」と前置きしながら、あのジャパンカップに限ればマイルCSを使ったことがいい結果につながったのかもしれない、とも言う。
「あとになって、いいほうに考えるとね、マイルを使っていたから、スピードに乗って前に行けたのかなと思う。ペースが速かったから、ちょっと前過ぎるかなと思ったけど、前の馬が残っているからな」
「芦毛、芦毛の(2)(2)で、2分22秒2」
と、黒い帽子の芦毛2頭が抜け出してきた直線をわたしたちは思いだす。逃げるホーリックス、首を低く下げ、懸命に前を追うオグリキャップ。モノトーンの記憶のなかに声がきこえる。
オグリキャップ、頑張れ!
(Number937号「秋競馬最速最強レコード伝説。1989年 ジャパンカップ戦前の予想を覆すオグリキャップとホーリックスの死闘。」より)