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「ジェフはまたダメか」を覆す!
佐藤勇人に聞くJ2最終節前の決意。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byKatsuya Hosoe
posted2017/11/18 11:30
“オリジナル10”であるジェフのプライドを胸に。最終節、佐藤勇人をはじめとした面々はフクダ電子アリーナでの決戦に臨む。
“100”でやれるサッカーの面白さを感じてる。
――読みも鋭いし、出足も速い。駆け引きは相変わらず達者で、相手のパスを誘い込むような守備ができる。しかも、判断が速くて躊躇がない。寿人くんへの対応のように思い切りガツンと行くこともあるし、流れを切るためにファウルを選択することもある。何をやってもフルパワーで、「すごいなあ」と感心してしまうんだけど、よく考えたら勇人くんはもう35歳(笑)。
「ですよね(笑)。自分くらいの年齢になると、経験でカバーできる部分がどんどん大きくなるじゃないですか。90分間をマネジメントしようとすれば、8割の力でプレーし続けることもできる。でも、自分にはその考えが一切ない。35歳だけど、全部100%でやる。それでぶっ倒れたり、ケガをしても仕方がない。そういう感じなんです」
――正直に言えば、昨シーズンまでの勇人くんは自分のプレースタイルに対して迷っているように見えた。
「ここ数年、葛藤はありました。自分がどんなプレースタイルで勝負するべきなのか。昔のようにガンガン攻撃することはできないから、守備でバランスを取る。ただ、それでも身体が思うように動かなかったのが昨シーズンで、正直、『いよいよしんどいな』と。
で、1年前からやり方を変えた。あえて筋トレをガンガンやって、食事を変えて、そしたら新しく来た監督も食事を意識する人で。練習量はかなり増えましたね。週に1回、午前中のチーム練習が終わったら、自分の心にムチを打って午後もトレーニングをする。それをやり続けたことで、自信がついたんです。『まだやれるんだ』と」
――年齢を重ねることで無意識のうちにセーブしてしまうパワーを、もう一度呼び覚ました。
「リミッターを外すというか、そういう感じかな。個人練としてお世話になっているトレーナーから言われるんですよ。『試合で疲労しているだろうから、今週はやめますか?』と。でも、『ここで負けたら俺は終わり。キツい時こそやらないと、残り10分で甘えが出る。だから今週もよろしく』なんて言っちゃって」
――カッコいい(笑)。
「でしょ(笑)。もう一度、“100”でやれる喜び、“100”でやれるサッカーの面白さを感じてるんです。だから、今はただ、サッカーに夢中になれる」