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バドミントン世界トップクラスの山口茜。
東京五輪で「強くなるため」の信念。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byYoshikazu Shiraki
posted2017/11/16 11:00
仲間と一緒に楽しんできたスタイルを土台に。
8月21日からはスコットランド・グラスゴーで世界選手権が行われる。山口は一昨年に出場のチャンスがあったが、同時期に開催された高校最後のインターハイを優先した。意外にも今回が初の世界選手権出場となる。周囲の期待は大きいが、プレッシャーは感じていない。
「とにかく楽しみですね。もちろん、今、目の前にある一番大きな試合なのでシンプルに頑張りたいという気持ちが強い。世界選手権は他の大会よりも格付けが高く、五輪と同等のポイントを獲得することができます。リオではベスト8だったので、それ以上の結果を残せたら。でも、結果だけを求めすぎず、大会や試合そのものも楽しみたいです」
楽しむことは、彼女のバドミントンの“原点”でもあり、その信念はこの先も決して忘れることはない。
「私は高校まで強豪校ではないところでバドミントンをやってきました。仲間たちと一緒に“楽しさ”を優先し、その中でメリハリをつけて練習してきました。だから、他の代表の選手たちとは育ってきた環境も違うし、試合に対する考え方も違うと思います。もちろん、今は楽しむだけではなく、プレーする以上、代表である以上、勝ち負けもすごく重要だということは理解しています。でも、やっぱり楽しみながらもいいプレーが出せていて、結果もついてきて……というのが私だから。うまく融合させていきたいですね」
(Number933号『東京へ。山口茜「楽しむために。強くなるために」』より)