オリンピックへの道BACK NUMBER
今も続くロシアとドーピング問題。
平昌五輪出場への“折衷案”とは。
posted2017/11/12 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
12月、重要な決定がなされる。ロシアの平昌五輪出場の可否だ。理由は、組織ぐるみのドーピングである。
ロシアとドーピング疑惑についてはここ2年、絶えず問題が起こってきた。2015年11月、国際陸上競技連盟がロシア陸上競技連盟を資格停止処分とし、リオデジャネイロ五輪にも陸上で出場できたのは個人資格で認められた1名のみという事態となった。また、リオ・パラリンピックではロシアそのものの参加が認められなかった。
ことは夏季五輪だけにとどまらなかった。2016年、世界反ドーピング機関(WADA)が、2014年のソチ五輪でのドーピング疑惑の浮上によりロシアの調査に乗り出すと発表。昨年5月には、ロシアのドーピング検査所の元所長が、ソチ五輪で組織的な不正が行なわれていたことを証言し、7月にはWADAが、国家の指示のもと、組織的に行なっていたと結論付けた。
その後、国際オリンピック委員会(IOC)も、2つの調査委員会を設置。今年10月までに処分に関して発表するとしていたが、今日までずれ込んでいた。ただ、開幕は来年2月。引っ張るにも限界がある。そこで、12月に結論を出す見通しとなったものだ。
日本を含む反ドーピング機関がIOCに除外を求める。
ではどのような答えが導き出される可能性があるのか。現段階では、何も処分がなされないとは言いがたい。
今年9月、日本を含めた世界各国の反ドーピング機関がIOCに対し、ロシアを平昌五輪から除外するよう求める共同声明を発表している。
WADAは、ロシア反ドーピング機関を資格停止にしているが、それは今も解けていない。資格を回復するための条件を定めたが、組織的に行なっていたことを認めないなど、クリアできないためだ。ソチでの不正を認められない以上、各国の反ドーピング機関としては、ロシアの参加を認めるわけにはいかない。