濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
ユーチューバー草なぎ、ガンプロ乱入!?
極小団体トレンド入りの顛末と真の勝者。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2017/11/10 15:00
左から、草なぎ、今成、大家。異次元の組み合わせだが……初めてプロレスを観る人にも大いにアピールできたはず!
ガンプロの興行サブタイトルは『青いイナズマ2017』。
ガンプロは大家がDDTをはじき出され、資金1万5000円で作った団体だ(その資金も人のお金)。
挫折した選手、くすぶっている選手が再起をかけて、あるいは居場所を求めて集まってくる。ちなみにインディーとは映画会社、レコード会社と同じでインディペンデント=独立という意味。稲垣、草なぎ、香取にふさわしいといえなくもない。
また、ガンプロの興行サブタイトルは90年代J-POPが元ネタになっている。今回は『青いイナズマ2017』だった。
まったくの偶然だが、もしかしたら、これがAbemaTVスタッフの目にとまったのかもしれない。
極秘プロジェクトは「シナジー効果」だった
事前告知は不可能だった。
番組を盛り上げるためだけでなく、もし情報が漏れたら、とてつもない数のファンが新木場を埋め尽くしてしまう可能性すらあるのだ。ごく一部の関係者以外には直前まで知らされていなかった。「話自体、来たのが直前。すべて極秘で動いてました」と言うのは、DDTの“大社長”高木三四郎だ。
『72時間ホンネテレビ』はAbemaTV史上最高の視聴数を叩き出し、インターネット映像に関する歴史に残る出来事になったといってもいいだろう。「大きなうねりになった祭り、その中に自分たちがいられたのは大きい」と高木。実際「男色ディーノ」、「ガンプロ」といったワードもツイッターのトレンド入りを果たした。この番組で久々にプロレスを見たという人もいたはずだ。
「プロレスをメジャースポーツに」
それがガンプロのモットーである。
そんな壮大すぎる目標を、100人とか200人の会場で叫ぶところが面白くも熱いわけだが、この日のガンプロは一瞬だけであっても、現実としてプロレスをメジャーにしてしまった。
「本当の意味でメジャーな人が来ちゃいましたからね。サイバーエージェントとのシナジー効果が、まさかガンプロで発揮されるとは」と高木は笑っていたが、これで満足しているわけではない。曰く「こういうことを続けていければいいのかなと思います」。
一過性のもので終わらせてはいけないということだ。
実際この日の試合でも、DDTがこれまで赤井沙希をデビューさせ、男色ディーノvs.LiLiCoを実現させた、その歴史からくる手腕が見事に活きた。