フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
チャンNHK杯欠場とコリヤダ初優勝。
平昌五輪に波乱の予感が……。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2017/11/06 16:30
中国杯でフリーの演技を見せるコリヤダ。パトリック・チャンの心を揺さぶる存在となったのかどうか……。
ベテラン勢にとって重い肉体的負担となった日程問題。
だがその4日後の、北米東海岸時間4日午後4時に、カナダスケート連盟を通してNHK杯欠場が正式に発表された。
理由は、カナダ選手権のトレーニングに集中するため。
だが現実的には、もちろん五輪に向けて建て直しをはかるためにNHK杯を欠場することに決めたのだろう。
チャンはスケートカナダのフリーでは、冒頭の4トウループで転倒した後、きれいに着氷した3回転はトウループとフリップのみという、考えられないほどの不調な演技に終わっていた。
「足に力が入らなかった。SPで好調だった翌日には、ありがちなこと」
試合後に、青ざめた顔でそう感想をもらしたチャン。
だが平昌五輪では、個人4種目ともSPの翌日がフリーというスケジュールである。団体戦が加わったソチ五輪から、SPとフリーの間の1日休みがなくなったのだ。
スケートカナダで宇野昌磨もフリーを滑り終えた後に、「課題はスタミナ」と感想をもらした。19歳の伸び盛りの宇野にとってすら、現在のトップ男子に要求される内容で、SPとフリーが連日で開催されるというのは体力的にかなりの負担だという。
ましてや26歳のチャンとフェルナンデスにとっては、かなり状況的に厳しいのが現実なのに違いない。
あせりを感じさせたチャンの欠場発表。
チャンがなぜスケートカナダ終了後の4日間の間に、NHK杯を欠場する気になったのか……その理由は想像するしかない。
トレーニングに戻ってみて、調子が悪かったのか。4位に終わった結果が、自分で思っていた以上にショックで重くのしかかったのか。