フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
チャンNHK杯欠場とコリヤダ初優勝。
平昌五輪に波乱の予感が……。
posted2017/11/06 16:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
北京で開催されていたGP第3戦目の中国杯も、11月5日無事終了。ファイナルへの展望もうっすらと見えてきた。この大会でもっとも注目されたのは、これまでほとんどマークされていなかったロシアのミハイル・コリヤダが初のGPタイトルを手にしたことである。
22歳のコリヤダは、初出場した2016年世界選手権で4位になり、2017年欧州選手権では銅メダルを手にした選手である。そのジャンプの質の良さとよく伸びるスケーティングはかねてから注目されていて、決して全くノーマークだったわけではない。
だがジュニア時代も大きなタイトルを手にしたことはなかった彼の名前が、これまで平昌五輪のメダル候補に挙がってきたことはほとんどなかった。
コリヤダは9月のオンドレイネペラ杯のフリーで初めて4ルッツを成功させ、SP10位から一気に逆転優勝してみせた。だがGP初戦のロシア杯のフリーでは、4ルッツで転倒。それでも3位に入賞している。
知り合いのプロスケーターが「きまればコリヤダの4ルッツが(全選手の中で)最も質が高い」と評価していたので、注意して見てきてはいた。
そして彼は、2戦目である中国杯SPで見事な4ルッツを成功させて、GP初タイトルを手にした。
ミハイル・コリヤダがSPでついに100点越えを!
中国杯SPでのコリヤダの4ルッツは確かに高さ、空中の姿勢とも申し分なく、まるで3回転のように余裕ある着氷だった。しかもこれまでの自己ベストを8点近く更新し、103.13という高スコアを手にしたのである。
これまで100点越えをしたスケーターは、羽生結弦、ハビエル・フェルナンデス、宇野昌磨、ネイサン・チェン、パトリック・チャンの5人。コリヤダは6人目だが、得点的には宇野に次いでパーソナルベストで史上4番目の高得点になる。
フリーは3位だったがコリヤダは総合で優勝し、ロシア杯での3位と合わせて名古屋でのファイナル進出がほぼ確定した。