球道雑記BACK NUMBER
2年生右腕・杉山晃基が154キロ投球!
明治神宮大会に3年ぶり出場の創価大。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2017/11/06 08:00
それほど大きな身体つきではないが、しなやかで強靭な特性を活かして豪速球を投げる杉山。
「すごい形相で『明日投げさせてください』って」
前日の筑波大学戦で130球を越える完投をしていた杉山だが試合が終わり、ベンチを出ると、監督の居場所を探し、鬼気迫る形相で詰め寄った。
そのときの様子を岸監督はこう語る。
「僕の心の中では昨日の試合が終わった時点で『明日は小孫だ』と思っていたの。そしたら昨日、ここで取材を受けて、出たら、そこで杉山が待っていたの。で、僕の顔を見て、すごい形相で『明日投げさせてください』って。僕、結構そういうのに弱いんですよ。だから『ちょっと待て、ちょっと待てと、その気持ちは嬉しい。凄いと。でも、佐藤コーチと一度話し合うから帰りのバスの中で。だからちょっと待ってくれ』と言ったんだよね」
秋の全国大会出場で、田中正義と池田隆英を超えて……。
結局、この気迫に押される形で監督は準決勝の先発を杉山に託した。試合の結果は1回1/3で3失点して無念の降板となったが、監督はこの杉山の行動に確かな手応えも感じていた。
「それで良いんですよ。そういう選手は絶対これからまた伸びると思う。その気持ちが大事なんですよ。打たれるのはしょうがない。相手もあることだから……。
(普段は)おっとりしてボーっとしているんだけどね。(杉山の先発直訴で)勝ったなって思ったね。勝敗とかそういうことじゃなくて、このチームは勝ったなと……。そういう意気込みが結果的に3点やられたけど、意気込みが波動するよって言ったの。チーム全体にね。連投させてくださいってみんなも知っているから。
それが南の同点スリーランになったかもしれない。次の小孫のああいうピッチングになったんだと思うよ」
監督の言葉どおり、試合は主将の南遼太郎が同点のスリーランを放ち、3点差を追い付き、杉山のあとを継いだ小孫が7回と3分の2を無失点に抑えて、上武大学に逆転勝利。11月10日から始まる明治神宮大会の出場権を手にした。
昨年は、田中正義と池田隆英の二枚看板を擁しながら手が届かなかった秋の全国の舞台。その魂を引き継いだ後輩たちが、3年ぶりに出場の明治神宮大会で頂点を目指す。