フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
カナダ杯で『君が代』流した宇野昌磨。
300点越え圧勝で五輪へ向け視界良好。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/10/30 18:20
カナダのメディアでは「五輪でも間違いなくメダル候補」と報道された宇野。
優れた音楽表現で2位になったジェイソン・ブラウン。
2位は、SP3位から1つ順位を上げたアメリカのジェイソン・ブラウンだった。
SP、フリーともにロヒーン・ワードの振付で、SPは人気ミュージカル『ハミルトン』。
「五輪シーズンはいつもより多くの人に演技を見てもらえる機会なので、自分が最もよく入り込める音楽とプログラムを選ぶのは大切なこと。見ている人へのギフトのつもりで滑っています」と語ったブラウン。
まさにミュージカル・パフォーマンスを見ているような充実した振付で、3アクセル、3ルッツ、3フリップ+3トウループとほぼノーミスできめた。4回転こそないものの、1つ1つのエレメンツの質の高さと、優れた音楽表現で90.71を獲得。
フリーは作曲家マキシム・ロドリゲスが彼のために書いたオリジナルスコア、『インナーラブ』。
冒頭の4トウループでは転倒し、次の3アクセルの着氷が乱れたもののミスを引きずらず、柔らかい体を駆使したスピン、ぎっしりと内容のつまったステップシークエンスなど、見ごたえのあるプログラムを披露。
3アクセル3トウループなど、合計7度の3回転を降りたが、彼の演技の面白さ、その質の高さは、降りたジャンプの数以上のものを見ている側に与えてくれる。フリー170.43で2位、総合261.14で銀メダルを獲得した。
「もちろんミスもあったけれど、ここに来てよい演技ができてすごく幸せだし、お客さんの反応も嬉しかった。順位を目的に滑ったことはないけれど、ここで2位になれたのは予想以上の成績。今年こそファイナルに行けたら嬉しいけれど」とこぼれるような笑顔で、演技後に語ってくれた。
4ルッツを成功させた新人、アレクサンドル・サマリン。
3位は、本大会がシニアGPデビューだったロシアの19歳、アレクサンドル・サマリンだった。
昨シーズンの世界ジュニア銅メダリストで、ジュニアGPファイナルでも2位に入った選手である。
SPで4ルッツ+3トウループ、フリーでも4ルッツを成功させて総合250.06を獲得。
4ルッツを真剣に練習しはじめたのは昨シーズンの終わりで、初めて成功したのが4月の国別対抗戦の練習中だったという。試合で初めて成功したのはロシアの国内試合で、まだ2週間ほど前のことだが、ここではSP、フリーともきれいにきまった。