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J1強化担当が続々と水戸に集結!
前田大然は独特すぎる韋駄天FW。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/27 07:00
前田を見ると、外見とともに圧倒的なスピードに目を奪われる。今季の活躍ぶりでいわゆる“個人昇格”を果たす可能性もある。
前線からのプレスは、まるで獲物を追うチーター。
前線で相手DFからGKまで追いかける姿は、まるで獲物を追うチーターのよう。2度追いは当たり前。相手のミスを誘い、味方のゴールへつなげたことは1度や2度ではない。自らの得点に結びつくことも多い。某Jクラブ関係者は、スピードを生かしたプレスの掛け方に舌を巻いていた。
「追い込み方がいい。ボールを奪いそうな雰囲気が漂っている。相手の守備陣もすごく嫌がっているのが分かるしね」
33節の千葉戦では、まんまと相手GKへのバックパスをかっさらい、ゴールを陥れた。してやったりの得点には、江原スカウトもにんまり。
「(前田)大然の得意な形なんだよ。プロ1年目のプレシーズンでも、同じようなゴールを決めているからね」
あごひげ、ディオールの香水、バリカンで丸刈り。
飛躍した2017年シーズンも残すところわずか。どん欲な20歳は、13ゴールで満足することはできない。
「たくさんチャンスがあるなかでの13点。まだまだ、だと思っている。もっともっと取れたはず。今季は複数得点が1度もないし。1試合で2点取る力をつけたい」
J1の強化担当が視察に訪れていることを意識しており、「モチベーションになっている」ときっぱり。二桁ゴールに届く前の夏頃は「自信はあっても、J1で通用するか、通用しないかは別」と少し控えめだったが、いまは吹っ切れた様子だ。
薄っすらとあごひげを蓄え、表情にも余裕がにじむ。試合後は『ディオール』の大人の香水をふんわり漂わせ、取材ゾーンに悠々と現れる。「あまり若く見られたくないので。25、26歳と言われるくらいがちょうどいい」とセルフ・プロデュースにも抜かりはない。
自前のバリカンで刈り込むヘアスタイルにも強いこだわりを持つ。「チャラチャラするのは嫌い。この方が気合が入る。昔からずっとこの髪型なので。サッカーをやっている間は絶対に変えない」と力強く誓う。