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サッカー観戦とARは相性が良すぎ。
松本山雅のスタジアム“拡張”計画。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/01 07:00
アルウィンでの「超体験ツアー」に参加した松本サポーター。ロッカールームの様子を映し出されると歓声が挙がっていた。
イギリスでもVRを活用した“ドッキリ”が。
たしかに、建物を新たに作るよりは、映像を生かすことができれば新たな楽しさを生み出しながら、コストは大幅に下がる。工夫ひとつ。これは松本のイベントから少し外れるが、思い当たる節があった。
イギリス滞在中に目にしたテレビ番組でのこと。VRを使用した“ドッキリ”を仕掛けていたのだが、その内容は「VRで試合後の記者会見に臨む監督の気分を味わえる」といったもの。記者会見席に座った参加者はVRゴーグルを装着。辛口で鳴る地元メディアの厳しい質問を体験する、といった具合だ。
それだけでもサッカーファンとして十分に楽しめるものだが、最後に“オチ”があった。参加者が一連の映像を見終わり、VRゴーグルを外すと、記者席に1人の男が座っている。誰かと思えば、サッカー界きっての名将、ジョゼ・モウリーニョだった。まさかモウリーニョが現れると思ってもみなかった参加者は一様に呆然としつつも、すぐに嬉しそうな表情に変わったのが印象的だった。
反町監督がインタビューを受けている姿に……。
松本のケースでも、似たようなことがあった。
前述したピッチ入口にたどり着いた時のこと。映像が流れ終わってゴーグルを外す。するとドアの先で、偶然にも反町康治監督が試合前インタビューを受けていた。これを目にした参加者は「試合前って、こんな感じなんだ!」と口にしていた。
またARでキックオフ前のロッカールーム映像を見た直後、現実では高崎寛之ら主力選手がウォーミングアップに励んでいる様子を目にした。
「試合前はこう準備して、ロッカールームに入っていくんですね!」
ファンが普段体験できないものを、ARと現実の相乗効果を味わってもらうことで満足感を高める。スタジアムという場所の価値を高める存在としてARは確かに機能していたのだ。