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松井大輔が語るポーランドでの戦い。
「ドラクエで言えば別のダンジョン」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2017/09/22 11:30
キャリアで10クラブ目となるオドラ・オポーレ。未知の環境を常に求める松井大輔は、今も楽しそうだ。
「そうそう。18歳と36歳じゃ違うから(笑)」
――意識しなくともヨーロッパの生活に溶け込めると思ってたから、意外です。
「意外と簡単じゃなかったね。3年ぶりにヨーロッパへ戻ってきて、なんか最初はずっとふわふわしてた。休みのたびに、プラハとか周辺の都市へ出かけたりしながら『これは夢なんじゃないか』というようなふわふわ感があった」
――磐田でプレーしているときも、またいつかヨーロッパに戻りたいという希望はあったんですか?
「行きたいな、行きたいなとは思っていたけど、夢と現実は違うからね」
――18歳のときに「ヨーロッパへ行きたい」と夢を抱くのとは違いますからね。
「そうそう。18歳と36歳じゃ違うから(笑)」
――しかし、夢を叶えました。
「(笑)。今回は、俺にとってもほんとうに未知の挑戦だから。初めて選手の輪に入れない経験もして、ポーランド語を必死で覚えようとしたからね」
――ボールがあれば、世界のみんながお友達という感覚だったけれど……。
「そうそう。でも違ったからね。これも、いい経験だよ」
――36歳という年齢については、今どう感じていますか?
「うちのチームには若い選手だけじゃなくて、俺と同世代か上の選手もいる。ヨーロッパでは本当に年齢は関係なくて、フラットに評価してくれるから。ベテラン扱いというのもなく、若い選手もそうじゃない選手も一緒。そういう感じだから、自分自身も年齢を考えてネガティブになることもない」
――ジュビロ磐田への移籍を決めたとき、日本で引退するというイメージはあったんですか?
「確かに、そういう気持ちがなかったとは言い切れない」
――磐田では、ベテラン選手として「その経験を発揮してほしい」と求められる場面も多かったし、キャプテンも任されました。
「キャプテンを任されて、周りの期待にも応えたかったし、そういう気持ちになれたのは、自分にとって非常によかったと思っている。今までやったことのない役割を担って、それをうまくこなせたかはわからないけれど」