セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
モヒカン頭なのに常識人の若頭。
ハムシクと武闘派ナポリ、結束せよ。
posted2017/09/22 07:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
今季セリエA優勝候補の一角ナポリが序盤から好調だ。
4節で昇格組ベネベントとの“カンパーニャ州ダービー”を制し、ユベントス、インテルとともに開幕4連勝。3チームによる開幕4連勝揃い踏みは、1960-1961シーズン以来57年ぶりの椿事だ。
咥え煙草とジャージ姿がトレードマーク、しかし緻密な戦術指導と親分肌で知られる指揮官サッリのチーム作りは円熟の3年目を迎えた。
昨季の後半戦19試合で記録した15勝3分1敗という勝ち点ペースは、優勝した絶対王者ユーベすら凌駕した。今季も開幕4試合でリーグ最多タイの8人が得点し、1試合あたり14回の決定機や平均64%に上るボールポゼッションもリーグトップの成績を記録している。
都会的で洗練されたユーベやミランとは違う、どこか土着的な武闘派集団“サッリ一家”は、今季こそタイトルという果実を収穫する、と意気込むのだ。
ところが、開幕連勝発進にも監督サッリの表情は晴れない。
元来、憎まれ口を叩いてナンボ的性格の“親分”だが、チームの試合運びが気に食わないらしい。3-1で勝った2節アタランタ戦は15分に先制を許したし、3ゴールで快勝したように見える3節ボローニャ戦も、前半は相手のハイプレスに苦しみ無得点に抑えこまれた。
「前半の出だしからゲームの主導権を握れない。メンタル・アプローチの問題だ」
チームの顔であるハムシクが不調に陥った。
試合序盤で主導権を逃す元凶とされるのが、今季の公式戦全試合に先発させている主将ハムシクで不調にあることも親分をさらに悩ませている。
サッリによって左サイドハーフの適性を見出されたハムシクは4-3-3の中盤の要であり、監督から寄せられる信頼は絶大なものがある。だが、今季序盤でのパフォーマンスは彼本来の出来からは程遠く、迂闊なボールロストやあわや失点に繋がるようなバックパスのミスが目立つ。
今月13日、シャフタールとのCL初戦でもハムシクを先発させたサッリだったが、彼のスランプは明らか。仕方なく後半の早い時間帯で主将を交代させるしかなかった。今季初公式戦だったニースとのCLプレーオフ1stレグから数えて6試合連続となる途中交代は、主将にとってさぞ悔しい負い目となったに違いない。