バレーボールPRESSBACK NUMBER
1年おきにボールが変わっては……。
バレー強化の意外な「落とし穴」。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2017/09/20 08:00
サーブを武器にする必要がある日本にとっては、国際大会と国内大会でボールが違うのは影響が大きいといえるだろう。
ジャンプフローターサーブが日本の課題だった。
開幕前に全日本の中垣内祐一監督が生命線に挙げていたのはサーブとサーブレシーブだったが、それも6チーム中最下位に終わった。
今年はワールドリーグのグループ2で準優勝し、世界選手権アジア最終予選は4戦全勝で出場権を獲得、アジア選手権は優勝と各大会で結果を残してきたが、世界トップレベルと言える相手とは、5月の親善試合でイタリア、アルゼンチンと対戦しただけ。アジアでの戦いに慣れてしまっていた日本は、世界トップレベルのサーブに面食らった。
相手がサーブで攻めにくい状況を作るためにも、日本は先にサーブで崩して先行したいところだったが、そのサーブも不発。サービスエースを奪う場面もあったが、ほとんどが単発に終わり主導権を握るまでには至らなかった。
今は世界のどのチームもサーブを重視しているが、特にブロックで劣る日本は、まずはサーブで崩し相手の攻撃を絞りやすい状態にしなくては勝負にならない。日本は柳田将洋や石川のジャンプサーブが武器である一方、昨年までジャンプフローターサーブが大きな課題だった。
その点、フローターサーブのいいミドルブロッカーの李博や藤井が今年代表に加わったことは好材料だった。
フォーム撮影、分析でサーブが磨かれつつあった。
李と藤井が所属するV・プレミアリーグの東レは昨シーズン、徹底的にサーブを強化した。元Vリーガーで現在は崇城大学准教授を務めるスポーツバイオメカニクスの専門家、増村雅尚氏が選手1人ひとりのサーブのフォームを撮影して分析し、アドバイスを与えた。
アメリカ代表デービッド・リーのフローターサーブをモデルにし、時速65~70kmの速さの時が一番変化しやすいなど、ミカサ製のボールの特性も踏まえた上で、「手のひらの付け根のあたりで押し出すように打つ」、「もっと高い打点で」といった助言をした。
そうした取り組みが実り、昨季東レはサーブランキング1位となり、リーグ優勝につながった。増村氏は今年、全日本でも同じように選手の映像を撮影してアドバイスを送り、アジア選手権などではサーブが効果を発揮しはじめていた。