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もっとスーパースターになってやる。
“次期WWE王者”中邑真輔の新世界。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/09/19 17:00
中邑が日本で築き上げてきた心技体のそのすべてが、全米で高い評価を受けている。中邑の米国メジャー団体制覇の野望、なるか?
日本とアメリカ――同世代の選手には親近感がある。
8月1日にクリーブランドでWWEの顔であるジョン・シナに勝った。
8月20日にはニューヨークでの「サマースラム」で、初めてマハルのWWE王座に挑んだ。王座奪取こそならなかったが、中邑は止まらなかった。
“ザ・ライジング・サン”の勢いは、ド派手な入場とともに加速していった。
9月5日にはスーフォールズで、ランディ・オートンを倒して、再度マハルへの挑戦権を手に入れた。
「同世代、この世界をけん引してきた仲間がいる。自分は日本で、彼らはアメリカでやってきた。ある程度の親近感がある。シナとオートンには、レスラーとして通じ合うものを感じることができた。だけれど、シナとオートンに勝って、浮き足だったらいけない。自分にとってはこれが普通なのだ」
中邑は自分に言い聞かせるように語った。
「失敗もあったけれど」
と、思い出したようにふと口にした。まあ……それはプロレスに限らず、人生にはつきものだからおいておこう。
「タイトルをとれば、スマックダウンの顔として認められる存在になれる。だからこそ、戦いがいがあるし、それに勝たなくてはいけない。WWEにはまだ戦っていないレスラーが多くいるし、スマックダウンの中にもいる」
高山さんは「必ず帰ってくると信じています」。
中邑は頸髄完全損傷という大けがと戦っている高山善廣にもエールを送った。2人は2004年と2010年に新日本プロレスの1.4東京ドーム大会で戦っている。
「高山さんは、自分がレスラーとして育っていく過程で、たたき上げてくれた同志。その高山さんが戦っているので、自分も高山さんのためにできることをしたい。一度、地獄の縁から帰ってきたレスラーなので、必ず帰ってくると信じています」