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ダルビッシュが野茂を越える日は……。
日本人投手の世代間リレーは続く。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2017/09/18 07:00
ダルビッシュは7月末のトレード期限寸前で野茂も在籍したドジャースに移籍。8月は3試合に登板して2勝と順調だったが、腰の張りでDL入りしている。
ダルビッシュ、野茂、黒田を数字でみると……。
ダルビッシュは野茂より1歳若い25歳での「メジャー挑戦」だったが、2015年は丸々、右ひじの手術のために棒に振っているので、今年が実働5年目ということになる。
実働5年目の成績を比較すると、ダルビッシュは野茂や黒田に匹敵する存在であることが容易に分かる。
勝敗にはそれぞれが所属していたチームの強弱、投球回数には当時の監督や野球界の起用法、そして奪三振には彼らの投球スタイルの違いが表れていると思う。共通しているのは、彼らが「メジャーリーグで5年間、生き延びた」という事実だ。とりわけ、野茂とダルビッシュには最初の5年間に「山あり谷あり」という意味で似たようなところがある。
野茂は1年目、前年から続いたストライキの影響で最初の1カ月が空白になりながらも、残る5カ月で13勝(6敗)を挙げて新人王になっている。同年は今のところ日本人唯一となるオールスターゲームの先発投手を務め、サイヤング賞投手の投票でも4位に食い込んだ。ダルビッシュは1年目、16勝(9敗)を挙げて新人王の投票では3位、サイヤング賞でも9位に入る健闘を見せた。
野茂が1年目に236個で最多奪三振のタイトルを獲れば、ダルビッシュは2年目に日本人投手の最多記録となる277個で同タイトルを手中に収めた。野茂が2年目に自己ベストの16勝を挙げてサイヤング賞投票で再び4位に入れば、ダルビッシュも2年目に13勝ながら前出の奪三振記録もあって同賞の投票で日本人最高の2位に入る健闘を見せている。
2人が苦戦したのは4年目だ。前出の通り、ダルビッシュは右ひじの手術を受けてシーズンを棒に振っており、野茂も4年目、調子を崩してシーズン半ばにメッツへ放出となっている。野茂は翌年のキャンプ終盤、メッツを自由契約になってカブスとマイナー契約して大リーグ復帰を目指したもののかなわず、次にブルワーズと同様の契約をして復帰への道を切り開き、大リーグで4度目の二桁勝利を挙げている。
凄いヤツが次から次へと現れてほしい。
ダルビッシュは今季、4年ぶりにシーズン200奪三振を記録しそうな勢いで完全復活を印象付けている。8月19日には腰の張りで10日間の故障者リスト入りしたものの、3年ぶり4度目の二桁勝利も見えてきた。野茂が2年目と3年目に達成したシーズン200回以上の登板も、4年ぶりに達成するかも知れない。
ダルビッシュが野茂を超えていく。
次の誰かがダルビッシュを超えていく。
凄いヤツが次から次へと出てくる。
そんな未来が訪れることを期待する――。