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サッカー界の英雄が麻薬絡みで破産!?
殺人件数2位メキシコ、その闇の深さ。
text by
トマス・グバンThomas Goubin
photograph byPatrick Boutroux/L'Equipe
posted2017/09/04 08:00
世界で2番目に殺人事件の多い国のサッカー場。リーガメックスのクラブには、スタジアム内だけでなく、その外の世界でも警察が目を光らせている。
偉大なる選手の栄光が、すべて終わった日。
1部所属で処罰の対象となったクラブは「ショロス・ティファナ」だけであった。
このチームはオーナーであるホルヘ・ハンク・ローンが、ティファナカルテルの麻薬取引に関わっているとして、アメリカのDEA(麻薬取締局)とFBIから訴追されている。
2011年にクラブが1部に昇格した際には、88個にもおよぶ武器がその本拠から押収された。オーナーのホルヘ・ハンク・ローンはティファナの元市長であり、メキシコ最大の政党であるPRIの大立者の息子でもあった。それほどの大物でも、結局は捜査の追及からは逃れられなかったというわけだ。
メキシコの英雄ラファエル・マルケスも、自分は大丈夫と高をくくっていたのかもしれないが……見通しが甘かったと言わざるを得ない。
“ミチョアカンのカイザー”の偉大なキャリアは、8月9日をもって幕を閉じたのだった。