Number ExBACK NUMBER
昌子「天国か地獄かの試合で強くなる」
川口や闘莉王も緊張したW杯予選。
posted2017/08/24 13:40
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Kiichi Matsumoto
「日本代表での大一番ともなると、○○さんでも緊張するものですか?」
8月は、この質問を連発した。
Number934・935号「日本代表 運命の一戦。」の“裏テーマ”は、足が震えるような重圧とどう向き合い、どう乗り越えるか。
勝てばロシアW杯出場決定、勝てなければプレーオフ行きとなる8月31日のオーストラリア戦、9月5日のサウジアラビア戦に向けて、現役代表選手には決意を、代表OBたちには過去の大一番での記憶を語ってもらった。
「これ以上試合したくない」「めちゃくちゃ緊張する」
少々意外だったのは、数々の修羅場をくぐり抜けてきたレジェンドたちが、冒頭の質問に対してあっさりと「緊張するよ」と認めたこと。
川口能活は、1997年11月16日のフランスW杯アジア第3代表決定戦、あの「ジョホールバルの歓喜」が生まれた夜を思い出しながら笑った。
「当時も今も変わらない。J3でも、試合前には緊張しますから。ジョホールバルのときは、チーム全員が『これで終わらせたい』の一心でした。最終予選の重圧の中でずっと戦ってきて、正直、オーストラリアとのプレーオフには行きたくなかったし、これ以上試合をしたくなかったですね」
外から見ると、鋼のメンタルを持ち、緊張とは無縁のように思える田中マルクス闘莉王も、心の中では重圧と戦っていた。
「めちゃくちゃ緊張しますよ。W杯予選は重みが違うし、試合前は余計なことを考えてしまう。相手のこの選手がこういうドリブルを仕掛けてきたらどうしようとか、ミーティングで想定していたのとは違うFWがスタメンにいるぞ、とか。意外と分析しちゃうんだよね」