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なぜサニブラウンはオランダ修行に?
国の枠を越えて才能を集める強化策。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa/Takashi Shimizu
posted2017/08/05 09:00
オランダ陸連の強化委員長ロスカム氏。陸上選手としてのキャリアはないが、先進的な強化体制でサニブラウンも快く受け入れられた。
「オランダを離れても、ハキームを応援しているよ」
特筆したいのは、オランダ陸連がサニブラウンをはじめとした海外選手も自国の選手と同様に手厚くサポートしている点だ。サニブラウンのオランダの住居や滞在許可書の手配、健康診断や血液検査のための病院の予約なども、オランダ陸連の担当者がボランティアで行っている。
「ここで練習している選手は国籍にかかわらず、皆、仲間だから。才能のある選手をサポートするのはとてもやりがいのある仕事だ。国という枠は関係ないよ」とロスカム氏。
今大会後、サニブラウンは進学予定のフロリダ大学に向かうため、オランダでの練習は7月下旬が最後となった。
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「ハキームが大きく羽ばたく段階の手伝いをできて、本当に良かった。オランダを離れても我々は皆、ハキームを応援しているよ」
ロンドンでの世界陸上に、オランダからは28選手が出場する。北京世界陸上200m優勝のシパーズには連覇の、女子7種競技の3選手にはメダルの期待がかかる。サニブラウンの快進撃を支えたオランダ陸連の強化策が、今大会どう実を結ぶのか注目していきたい。