フランス・フットボール通信BACK NUMBER
バイエルンを世界の強豪にした男。
塀の向こう側から戻ったウリ会長。
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byPhillipe Caron/L'Equipe
posted2017/08/01 08:00
練習中のバイエルンの選手たちが見下ろせる、ウリのオフィスにて。名実ともに、このクラブに君臨している男の姿である。
「もう彼の時代は終わった」
「しかしある時期から、状況のコントロールが次第に難しくなり、とりわけコミュニケーションに関する過ちが相次いだ。
服役したことで、もっと謙虚になるのではと期待したが、根っこの部分はまったく変わっていない。もちろんバイエルンへの貢献は多大なものがあり、彼なしにはヨーロッパのトップクラブの地位をこれほど長く保てなかった。
ただ、もう彼の時代は終わった。新たなページをバイエルンはめくるべきときだ」(ハンス)
5月22日におこなわれたブンデスリーガU-19選手権決勝、ボルシア・ドルトムント対バイエルン・ミュンヘン戦の際に、ドルトムントのあるサポーターがヘーネスのすぐ間近で彼を揶揄する仕草をした。それもPK戦に臨むBVBのファンが、選手たちに檄を飛ばしているまさにその瞬間にである。
「彼が納税者を馬鹿にしているのは許しがたい」
ヘーネスへの憎悪がピッチ内外で高まり、メディアを通じて伝えられる彼の言葉が、周囲の怒りを招いているひとつの証拠といえた。
その立ち居振る舞いには、多くの人々が驚きを隠せずにいる。政治家のなかには、ラインランド州政府法務相のトマス・クチャティのように、彼を再び監獄に入れるべきだとまで主張するものたちもいる。
「ヘーネス氏があれほど傲慢な態度を取るとすれば、バイエルン州の豪華な刑務所で、週末のバカンス付きで21カ月間収監されたことが、何の役にも立たなかったと結論づけざるを得ない。彼が納税者を馬鹿にしているのは許しがたい。これまで彼がしてきたことを省みれば、もっと謙虚で慎重になって然るべきだ。
挑発的なことばかり言っていると、司法当局が過去の書類をほじくり返して、再び起訴することにもなりかねない。彼にはそれは悪夢だろう。いつの日にか、彼が再び塀の中で暮らすことになっても私は驚かない」