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練習環境すら転々、J2讃岐の苦悩。
「このクラブを潰しちゃいけない」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/07/29 07:00
元日本代表FW我那覇和樹ら実績のある選手はいる。その経験値を出し尽くせる環境を讃岐は用意できるか。
練習施設の整備を求めて5万人超の署名を集めた。
環境改善にクラブが動いていないわけではない。
讃岐は昨年11月、J1クラブライセンス取得のために必要な練習施設の整備を求める5万7148人の署名を高松市に手渡している。
しかし、今のところ大きな進展はない。勝てないことで香川県民のチームの興味が薄れ、行政、地元企業も支援への腰が重くなれば、クラブ全体にとっても逆風となってしまう。
「勝てないことの言い訳にしたくないが、言わないと何も変わらない。U-15、U-18が力をつけていているので、このクラブを潰しちゃいけないと思う。そのためにこれからもずっと言い続けていく」
北野監督は覚悟を決めているように、そう言った。
「選手は文句を言わずにやってくれている」
トップチームだけではない。ユースやジュニアユースの選手もクラブの宝である。彼らが昇格し、地元の選手が増え、県民に地元クラブとしての意識がより高まれば、さらに応援していこうと前向きになる。ただ、そのためにはトップチームは環境が整った夢のある場所ではなくてはならない。
北野監督はそれを理解しているからこそ、現状をありのままに伝えている。自分に言い聞かすように前を向いてこう話している。
「選手は文句を言わずにやってくれている。残留を争っているが、今日の試合をみればJ2でも十分戦えていると思う。これを続けていけばいいと思います」
ヴェルディ戦では、確かに光明が見えた。
讃岐は3バックで戦っていた。若干引き気味の戦略を採用した分、前線の負担が大きかったが、パスをダイレクトでつないで攻撃でいい形を作ったり、守備面では相手のシャドーをセンターバックとボランチでうまく捕まえて前半はほとんど自由にさせなかった。