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練習環境すら転々、J2讃岐の苦悩。
「このクラブを潰しちゃいけない」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/07/29 07:00
元日本代表FW我那覇和樹ら実績のある選手はいる。その経験値を出し尽くせる環境を讃岐は用意できるか。
ここ2年間コンディション調整に苦慮し、故障者続出。
クラブハウスはもちろん、専用の練習グラウンドがなく毎日練習場を転々としていること。人工芝での練習では、選手に負荷をかけるので十分な練習ができないことなどである。
この日は長澤拓哉を起用したが、その経緯について「専用の練習グラウンドがないのでうちは練習試合がなかなかできないんですけど、たまたまグラウンドが空いていて練習試合をすることができたんです。そのとき、長澤がよかったので使いました。あの練習試合がなかったら使っていなかったと思います」とも説明している。
監督とは、与えられた環境の中で結果を出さなければならない仕事だ。しかし、J2のレベルが全体的に上がりつつある今、この状況ではJ2はおろかJ3でも戦えなくなるという危機感を抱いたとしても不思議はない。実際、昨季は練習場所を転々とし、試合翌日のクールダウン、体をケアする場所確保が難しかったせいか故障者が続出した。その結果、19位に終わった。
今年も故障者が出て、選手のコンディション調整に苦慮している。特に暑い時期は試合でその影響がダイレクトに出てしまう。ヴェルディ戦も後半に入ると、足がつったり動きが落ちた選手がいた。これではリードを守り切ることはなかなか難しい。
「今、負けているのはそれだけが原因じゃない」
讃岐は、2011年に四国リーグからJFLに昇格し、2014年にJ2リーグに参戦した。しかし前述の通りクラブハウスも専用の練習場もない。そのためクラブライセンスはJ2のままで、優勝か2位に食い込んでもJ1昇格は果たせない。
ただ、昨年、韓国の釜山アイパークFCから讃岐に移籍してきた渡邉大剛はこう言う。
「たしかにクラブハウスがなく、練習場を転々としているし、人工芝での練習がきついなとか思いますけど、それは讃岐だけではなく、そういうクラブが他にもありますからね。うちはまだ成長段階のクラブですし、今、負けているのはそれだけが原因じゃないと思います。最近はセットプレーでやられていることがすごく多いですし、今日の試合も3-2で勝ち越せたのでしっかり守って逃げ切りたかったんですけど、できなかった。いつも勝てそうな試合で勝てていないですし、同じ過ちを繰り返している。そこは個々の責任が大きいと思います」
影響はあるが、環境面が直接的な敗因ではないという見解である。