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本田が去ったミランの274億円補強。
バイエルンに4-0もファンは不安?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/07/27 07:00
王者ユベントスでリーグ5連覇、CL準優勝に貢献したボヌッチまで獲得したミラン。カカらのいた黄金時代再建となるか。
「彼らが罵れば罵るほど俺はそれを力に変えてやる」
ユベントスの守備の要を引き抜いたことで、ミランの本気度は誰の目にも明らかになった。移籍金4200万ユーロは決して高くない。
「ユベンティーノたちから裏切り者扱いされることや、カネで動く傭兵だと思われるのは心外だ。ユーベで過ごした7年間は素晴らしいものだったが、物事には何でも終わりがある。俺はブーイングされたら余計燃える性分でね。言っておきたいのは、今季トリノでのアウェーゲームに臨むとき、彼らが罵れば罵るほど俺はそれを力に変えてやるってことさ」
古巣相手の不敵な言葉も頼もしい。ボヌッチ移籍はカンピオナートのパワーバランスを変えうるほどのインパクトをもたらした。
ボヌッチと同時に、円熟の司令塔MFビリア(ラツィオ)も加わった。2億ユーロを超える巨大補強は、約30年前のベルルスコーニ時代の端緒を思い起こさせる。興奮と熱狂は数字になって返ってくる。
昨季わずか16450席の年間シート販売数が倍増も。
昨季、ミランの年間シート販売数はわずか16450席に留まった。しかし、超大型補強を受けた今夏の販売は好調の一途で、クラブ側は昨季から売上倍増は堅いと睨んでいる。チャンピオンズリーグで優勝した直後の2007年夏に記録した43000席越えも夢ではない。
市場の動きにブックメーカーも敏感に反応する。
「Unibet」や「Snai」といったベッティング大手各社は、ミランをユーベ、ナポリに次ぐ優勝候補の3番手に軒並み設定した。優勝配当倍率は6倍から8倍で、昨季2位のローマや仇敵インテルより人気は高い。
中国ツアーの最中にあるチームは、22日のプレシーズンマッチに4万人を集めた。先発と途中出場組合わせて新戦力10人が投入された試合で、ドイツ王者バイエルンを4-0で撃破する金星を上げ、ミランを取り巻く熱は高まる一方だ。