松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹と勝者スピースの差。
解決すべき最後の「HOW?」とは。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2017/07/25 11:30
松山が見せる最終日のチャージは、アメリカでもすでに定着している。それだけに今回の最終日は残念だったことだろう。
「教えてほしいぐらい」と言っていた彼の成長。
どうやったらメンタリティは強くなる? どうやったら自信は醸成される? どうやったら気持ちの切り替えがうまくできる?
「HOW?」は次々に想起され、その答えは、なかなか見つからないからゴルフは厄介なのである。
だが、メジャー優勝に近づきながら、この全英オープンを14位で終えた松山に前進は見られなかったのかと言えば、そんなことはない。これまでだって彼は何位になったときも、そのたびに何かしらの「HOW?」の答えを見つけ、1つ1つ自分なりに咀嚼してきた。
「メジャーに照準を合わせるって言うけど、どうやったらそんなことができるのか。わかるなら教えてほしいぐらいですよ」
かつては苛立ち混じりにそう言っていた松山が、今では心技体どれにおいても「悪くない」状態でメジャー大会を迎え、優勝の可能性を感じながら戦えるようになっている。
今年はマスターズでも全米オープンでもスコアが大きく乱れる大波の日を経験し、勝つための課題は「4日間」だと言った。そして、この全英オープンでは初日、2日目、3日目と安定したプレーで大波を避け、優勝が狙える位置で最終日の1番ティに立つことができた。そのすべてが大いに評価すべき彼の着実な前進だ。
掴めそうだったきっかけが、また無くなっても。
その前進を経た先で、5位の好位置で立った全英最終日の1番ティ。それは、松山のメジャー初制覇への本当の意味でのスタートラインだったのかもしれない。
「きっかけが掴めそうだったのに、また無くなってしまった。次は何をしなくてはいけないのかを、しっかり考えて、やっていきたい」
どこまでも、いつまでも、1つ、また1つと「HOW?」を解決しながら進んでいく。その姿勢がある限り、松山は前進し、勝利へ近づいていく。
そして、最後の「HOW?」を超えたとき、夢はきっと叶う。