“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
香川、堂安も悩み決断したプロの道。
高2の逸材・中村敬斗の進路は?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/06/27 17:30
東京のサッカー少年は三菱養和のユニフォームを着るのが1つの目標である。その10番を身に着ける中村は、さらにスペシャルな存在である。
ガンバの練習に参加して得た刺激と確信とは?
試合後、注目の2年生はJスカウトだけでなく、観戦に訪れていた父兄や、同じ三菱養和のジュニアの選手達から声をかけられ、写真撮影にも応じていた。
「G大阪についての報道(※高校卒業を待たずして飛び級でプロ入りを明言したという内容)は正直驚いたというか……戸惑いました。あれから養和のスクールの子達から話しかけられる回数も凄く増えましたし、注目されているとは感じます」
今の彼は将来に対して真っ向から向き合い、じっくりと考えている段階である。だからこそG大阪に練習参加した際の報道は戸惑いしかなかった。だが、同時にプロの世界を体感したことで、考え方が大きく変わったのも自覚している。
「今年の2月に初めてプロの練習に参加したとき、最初はあまりのスピードの速さとうまさにびっくりして、衝撃を受けたんです。でも、2日目以降は徐々に慣れてきて、紅白戦でも点を獲れたこともあって、最後は自信を持てた。そこから他のクラブに練習参加する度に、刺激や得るものがすごく多くて“こういう高いレベルでやれば、もっと成長出来る”と確信が持てたんです」
まずは三菱養和の昇格と、U-17W杯に出場すること。
能力や意識の高い選手が高レベルの環境に飛び込む。それに順応できれば、さらにそのポテンシャルを上げられる。その感覚に気づいた中村は、より自分を高めたいと気持ちを昂らせている一方で、現在は三菱養和SCユースの選手であることも自覚している。
彼は中学時代から三菱養和で過ごしてきた。だからこそ、いつプロ入りするかは、彼にとって簡単ではない決断なのは容易に想像できる。
「今年はまず三菱養和で結果を残し、プレミアリーグ昇格に導くことと、U-17W杯に出場する。この2つが大きな目標です。それから先のことはまだ分かりません」