錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
賭けとテニスの微妙な関係――。
錦織圭が全仏で優勝するオッズは?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2017/05/30 11:15
2015年の全仏では初のベスト8進出。昨年は4回戦でリシャール・ガスケ(仏)に負けて姿を消しているが……。
何か心機一転を感じさせた、錦織の言動。
しかしオッズは日々変わり、これでもアンダーソンに勝った直後の51倍から評価は上がってきている。ズベレフに敗れはしたものの、手首のケガが一度も再発しておらず、プレーのレベル自体は上がってきているという情報によるものなのだろうか。膨大で緻密な数字の裏には、それを弾き出す確かな根拠がある。
マドリードの準々決勝でジョコビッチとの大一番を棄権した錦織は、全仏オープンまで手首を休ませながら調整するものと思いきや、翌週のローマ大会に出場した。
結果、2回戦で元世界3位のベテラン・クレー巧者、ダビド・フェレールに勝ち、3回戦でデルポトロに敗れると、さらなる試合を求めて急きょジュネーブへの出場を決めた。それまでは、手首が完治したというコメントを安易に信じてはなかったが、その行動を見る限りビジネス上の配慮でもカムフラージュでもないらしい。
「(ジュネーブでは)ストローク戦の中で、感覚、リズムを取り戻すことが一番の目的だったので、結果としてそれができて良かった」
パリ入りした錦織はそう現状を評価した。
グランドスラムの前の週は試合に出ないという長年の調整の方針を破って臨んだ初めての地。経緯はどうあれ、いつもと違うアプローチが停滞したムードを一転させることはままあるものだ。
ブックメーカーをあざ笑うような全仏オープンを期待している。