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近藤健介の「夢の4割」実現の条件。
左打者、足、そして安打より四球! 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKyodo News

posted2017/05/25 11:30

近藤健介の「夢の4割」実現の条件。左打者、足、そして安打より四球!<Number Web> photograph by Kyodo News

近藤健介の2016年の打率は.265。4割打者の候補ランキング上位だったとはいいがたい選手だったが、一躍時の人となった。

韋駄天とは言えないが、内野ゴロでも走ることが大事。

 次に、足を活用すること。一厘、一毛の争いになったときに、ぼてぼての内野ゴロを安打にすることができれば大きい。

 捕手登録の近藤健介は、キャリアで19盗塁8盗塁死、三塁打3本と韋駄天の印象はない。しかし足が遅いわけではない。昨年までは膝に故障を抱えていた近藤だが、今年は調子は良いようだ。内野ゴロでもあきらめずに走ることが、あとあと大きな差になってくるだろう。

最大のポイントは、実は安打より四球?

 そして最大のポイントが、「打数を増やさずに打席数を増やす」こと。

 打席数には、打数のほかに四球、死球、犠打、犠飛が含まれる。こういうリザルトを増やすことができれば、1安打当りの「率」が上がる。

 今年の近藤は、この部分が驚異的なのだ。

 近藤は5月21日時点で164打席に立っているが、45四球2死球2犠飛を記録しているので、打数はわずか115。分母が小さいことで、打率4割をキープしているのだ。

 近藤は48安打に加えて、47もの四死球での出塁を稼いでいる。出塁率は何と.579、これは出塁率が現在の計算式(安打+四球+死球) ÷ (打数+四球+死球+犠飛)になって以降の最高出塁率である1986年、落合博満の.487をはるかに上回っている。

 打撃には好不調の波があると言われるが、選球眼にはそれほど波はないとされる。

 5月21日のオリックス戦でも、近藤は4打席すべてで四球を選んだ。安打を無理に欲しがらない姿勢がある限り、近藤は「夢の4割」に挑戦する資格があると言えよう。

 残り試合を今のペースで戦うとすれば、近藤健介は最終的に593打席416打数174安打、打率.418でNPB史上初の4割をクリアするとともに、王貞治の158四球を抜く163四球を記録し、これも新記録の出塁率.579をマークすることとなる。

 大谷翔平に注目が集まる日本ハムで、新たな「異能選手」が誕生するのだ。

 まさか? とも思うが、そういう「夢」を見ることも、野球の楽しみのひとつではないか、ご同役。

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