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村田諒太の“技”と“体”に迫る。
ミドル級世界経験者とコーチが語る。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2017/05/20 11:00
こんなににこやかな調印式があるだろうか。世界戦を前に、村田諒太の調整は順調に進んでいるようだ。
計量から試合までに、1日で8kg増える!?
――佐藤さんは'09年4月にドイツでWBA世界ミドル級王者フェリックス・シュトルムに挑戦して7回TKO負けに終わりました。世界戦ではどんな点が重要になってくると考えますか?
「やっぱりコンディションだと思います。僕の場合、早く体重を落としたこともあって前日計量を終えてから食事や水分を取っても体重が3kgほどしか戻らなかった。普段の試合だと8kgほど戻っていたので、大きな違いでした。ドイツの会場でも立ちっぱなしで待たされたりして、疲れたりもありました。そういう意味でも慣れたホームで戦える利点は、あると思うんです。チャンピオンになってくれる可能性を信じたいですね」
半端ない燃料タンクと、ガッチガチに硬い体。
続いて、中村正彦トレーナーから見た「体」だ。
――村田選手は走るのが速いと聞きます。身長や体重もあって大きい体なのに、長い距離も速いと?
「スプリントも帝拳ジムのなかでは一番速いと思いますが、ずば抜けるまではいってません。ただ、これが長い距離になるとずば抜けていきます。12、15、20kmと長い距離になると、他の選手との差は歴然。村田選手の普段の体重は80kgほどですが、50kg台の選手を周回遅れにしてしまうほどですから。下半身の筋力をしっかりと動力に変えることができていて、車にたとえると、燃費が良いというよりはガソリンタンクの容量が半端ないという感じですね」
――村田選手は体が硬いと言われていますが。
「ガッチガチに硬いと言ってもいいかもしれませんね。柔軟性に対する取り組みもやっていますが、ただ、ガッチガチなところの良さを発揮して結果を残してきた選手。無理に柔軟性のところは言わないようにしています」