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村田諒太の“技”と“体”に迫る。
ミドル級世界経験者とコーチが語る。
 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2017/05/20 11:00

村田諒太の“技”と“体”に迫る。ミドル級世界経験者とコーチが語る。<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

こんなににこやかな調印式があるだろうか。世界戦を前に、村田諒太の調整は順調に進んでいるようだ。

アマでのスタイルをプロに持ち込んだ村田。

――技術の面で、何か目を引いたところはありました?

「僕がアマの時代は、パンチを当てることが重視される採点基準でしたけど、それが(ロンドン五輪を前に)積極性や有効打が重視されるようになりました。ガードを固めて前に出ていくアマでのスタイルを、そのままプロに持ち込みましたよね。今もそのスタイルを貫いている感じを受けます。

 パンチとしてはガードを上げて構えるので、ボディー打ちがやりやすい。下が当たれば上も当たります。ボディー打ちがうまいのは彼のひとつの特徴だと言えるかもしれませんね」

――対戦相手のエンダム選手は、非常にスピードがある選手です。アウトボクシングに徹してくる可能性もあると思うのですが。

「村田くんのスタイルからすれば、非常にやりにくい選手です。当てて逃げるを繰り返されて、捕まえ切れずに終わることも十分に考えられますから。ガードを上げているとエンダムはそこを狙ってパンチを当てて、バランスを崩そうと考えると思うんです。バランスが崩れると、村田くんとしては瞬時に攻撃につなげられなくなりますからね。そうなってくると厄介ですね」

ボクシングの技術ではないところで勝負する必要がある。

――村田選手が勝つためには?

「エンダムはアゴが弱いので、狙いはそこだと思うんです。ガードを固めて前に出ていくとしても、いつもとは違う状況をつくり出さなきゃいけない。そうなって初めてチャンスが来る。

 上が当たれば、ボディーも当たる。チャンスになったときにいかに多角的に攻められるかでしょうね。ボクシングの技術で勝負しようとすると相手が上だと思うので、あきらめずにガンガン行くしかない。そこでいつもと違う状況を何とか生み出して、世界チャンピオンの称号をぜひつかみ取ってほしいと思います」

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