話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
J1通算20000点目を決めた地味な男。
清水・金子翔太、3年前と不変の姿勢。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/24 17:30
公式サイトでも「たくさん走ります!!」と書いている金子翔太。鄭大世の周囲を走り回る動きが、清水の攻撃を捕まえにくいものにしている。
岡崎慎司に似る献身性、あとはゴールへの意識。
FWでありながら守備に対する意識が高く、自己犠牲的なプレーでチームに貢献する姿はレスターの岡崎慎司によく似ている。
唯一、違いがあるとすればゴールへの意欲か。
岡崎はゴールのための守備としてとらえ、ゴールを常に狙っている。
一方の金子からは、岡崎ほどの貪欲さは感じられず、逆に周囲に気を使っているようにみえる。U-19日本代表の時、「拓実くんが決められるようにいいクロスやパスを出していきたい」と言い、自分よりも南野を活かすことを優先させていたが、今は南野が鄭大世になっている感じだ。
FWで出場している以上、川崎戦のラストプレーで同点ゴールを決めたチアゴ・アウべスのように、得点への意欲をプレーで見せることも今後、金子が成長していく上で必要なことだろう。
精神的にはまだ安定感があと一歩?
また、強いメンタルを育むことも必要だ。
U-19選手権の韓国戦前夜、金子は緊張のせいでお腹が痛くなり、ほとんど寝れなかった。また、プレーの出来がさえなかったり、ミスがつづくとガクンと落ち込み、それが顔に出てしまう。優しい性格で感情を隠せないのだろうが、金子の場合は落ち込み具合が極端で、それがプレーにも影響した。
U-19のチームメイトだった高木大輔に、「何、落ち込んでんだよ」とパチンと頭を叩かれていたが、今もそれほど強くなっているようには見えない。気持ちをコントロールできるようになれば、安定していいプレーができるようになるだろう。
チームのために汗をかけるプレイヤーなだけに、このメモリアルゴールが金子の刺激になればと思う。試合後、次々と違うカメラの前に立ち、金子の周囲は人であふれていた。これほど注目されることはなかなかないが、だからこそもう一度、活躍してスポットライトを浴びたいと思ったはずだ。
また、U-19で共に戦った仲間たちの活躍も大きな刺激になっている。
「拓実くん、関根、井手口とか同世代の選手がかなり活躍していて、自分はまだまだそこまで活躍できていないという状況ですけど、これから試合に出続けて結果を出し、彼らに追いつき、追い越したいという気持ちはもっています」