炎の一筆入魂BACK NUMBER
37歳・石原慶幸vs.29歳・會澤翼!
広島を牽引する2人の熱血捕手。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2017/04/20 11:00
4月18日のDeNA戦でサヨナラ打を放った會澤がファンとハイタッチ。勝負強いバッティングも會澤の魅力のひとつである。
ゴールデングラブ賞にも輝いたベテラン石原の存在。
一昨季、會澤は初めて石原の出場数(83試合)を上回る93試合に出場したが、昨季は再び石原がチームトップの106試合に出場して正捕手の座を奪い取った。
石原はベテランならではの熟練のインサイドワークが光り、初のゴールデン・グラブ賞にベストナイン、さらには3度目のバッテリー賞を受賞。先輩の壁の高さとともに、自分の未熟さを痛感させられた。
會澤は覚悟を決めた今シーズンを前に、石原に願い出たことがある。
それは、毎年1月に石原が恒例としている護摩行への同行だった。
もともとケガがちだった會澤に、石原が声をかけたのが一昨年のこと。ただ当時は一度断っていた。
「何かを変えないといけないと思った。もどかしい自分がいた」
昨季途中に自ら石原の下へ同行を志願した。
誰よりもやけどの跡が多かった會澤、その覚悟。
迎えた新年。
新井貴浩、堂林翔太の師弟関係の正面で、石原と會澤の2人は並んで「不動真言」を唱え続けた。
鹿児島にある最福寺で、顔よりも高く燃えさかる炎をにらみつける會澤の表情に、今季への強い意気込みが感じられた。
3日間の護摩行は會澤にとって想像以上に過酷なものだったようだ。額や頬、顎などに残るやけどの痕が痛々しかった。同行していた新井や石原、堂林と比べても激しい痕だった。
本人は「煩悩の数の違いが出ましたね」と笑うが、どこか勲章のように誇らしげだった。
「これで野球がうまくなるとは思わないけど何か自分が変われた。目標であり、ライバル。追い越さないといけないと思っています」
あらためて石原へ宣戦布告だ。