プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
オカダvs.柴田が新日本に残したもの。
勝者なきIWGP。桜の季節の記憶。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/04/11 17:00
全身全霊をかけて戦ったオカダと柴田。果たしてこの試合に本当の勝者がいたのか否か……。
柴田の気迫と、オカダの王者の意地。
この秘策はオカダのレインメーカーの逆手をとった格好だ。
相手を逃さない工夫があった。
助走をつけてのペナルティキックのような派手さはないが、確実性のある、痛さが伝わるキックの連打だった。
柴田はオカダの手首をずっと握った状態で、ヒザをついたオカダを引き起こすと鈍い音のするキックを王者の首筋や胸板にぶち込んだ。
レインメーカー式の連続キック攻撃といった方がわかりやすいだろう。
終盤、互いに手首を取りに行っての攻防はスリリングだった。
柴田の気迫はすさまじかった。
だが、オカダは王者の意地で一歩も引かなかった。
柴田は3発目のレインメーカーに3カウントを聞いてしまったが、オカダもしばらく立ち上がれなかった。
戦いは終わった。
這うように両手をつきながら控室に戻っていく柴田。その姿は、まだ終わっていないという強い意思表示にも見えた。
試合の余韻がファレにより別のものへと変質したが……。
リング上ではやっと立ち上がって、防衛したベルトを巻いて、どうにかポーズを決めようとしたオカダだったが……バッドラック・ファレの襲撃が待っていた。
手負いのオカダがKOされるのに時間はかからなかった。ファレは、いとも容易にオカダを放り投げた。
38分の激しい試合の余韻はファレによって、別のものへと変わった。