権田修一、不器用すぎる男である。

「あらためて思うのは、やっぱり今僕は『サガン鳥栖の権田』なんだと。怖さを乗り越えて立ったピッチは、長く僕を育ててくれたスタジアムでもあった。そこで、FC東京以外のサポーターからあんなに大きな声援をもらった。今までとはまた違う嬉しさだった」

　不器用すぎる男である。誤解を恐れずに言えば、妥協なく生きることだけがこの世での正義でもない。

　ただ、権田はそんな自分を押し出し、そんな自分に苦しみ、変化も試みた。それでも結局自らの根本を大切にして、再び歩んでいる。

　彼には、嘘がない。愚直さが必ず成功につながる世界ではないが、誰だって真っ直ぐな人間が報われるところは見てみたいと思う。

　権田修一のゴールキーパー人生。どこでプレーしていても、あの涙を流した熱と情をなくすことはない。