フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦がフリーで見せた王者の気迫。
宇野2位で初メダルとなった世界選手権。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/04/03 17:00
フリーの演技が終わった瞬間……羽生が片手を天へ向けた。ライバルたちも納得せざるをえない、まるで優勝が決まったような瞬間だった。
「このフリーが、最高のご褒美です」
フリー223.20、総合321.59で、自身の持っていたフリー世界歴代最高スコア更新。キス&クライに座って、感極まった表情を見せた。
記者たちの前に現れると、「疲れました」と開口一番。「演技の内容を忘れるくらい、1つ1つに集中できたと思う」とほっとした表情を見せた。
「自分の中に限界を作らずに練習をしてこられたことが一番の収穫」
「このフリーが、最高のご褒美です」
と嬉しさを表現した。
宇野昌磨、銀メダルで世界選手権の表彰台へ。
宇野の滑走順は、最後から2番目だった。
ピアソラのタンゴのメロディで、4ループ、続いて4フリップと、最も難易度の高いジャンプを無事に着氷。だが続いた3ルッツでバランスを崩した。そこからコンビネーションスピン、ステップシークエンスを演じながら落ち着きを取り戻していった。
いよいよ後半に差し掛かり、3アクセル+3トウループがきれいにきまった。次の4トウループの着氷も耐え、4+2トウループのコンビネーションは難なく着氷。後半に最大のポイント源である3アクセル+1ループ+3フリップのコンビネーションが成功した瞬間、宇野はメダルを勝ち取った。
フリー214.45、総合319.31と大きく自己ベストを更新。フェルナンデスの記録を抜いて羽生に次ぐ世界歴代2位の数値を出した。
「あの演技にはどんなことをしても勝てない」と宇野。
「緊張はあまりしなかったです。ループもフリップも(4回転を)跳べる気がしていました。昨年は涙で終わったこの大会を笑顔で終わることができて嬉しいです」
「事前に羽生選手の演技を見ていたので、どんなことをしても絶対に勝てないと思った。逆に開き直って、自分の演技をしようと思いました」と語った。