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世界1位のDJを焦らせた谷原秀人の技。
マスターズに再び出るための10年間。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2017/03/31 08:00
係員やボランティア、誰に声をかけられても笑顔で対応する谷原秀人は、現地であっという間に人気者に。
「もう少し自信を」そう言ってマスターズに向かう。
初出場した2007年と違う目線でオーガスタを眺めると言った谷原。その意味こそが、“付け焼刃のドロー”に混乱して崩れた10年前への反省であり、この10年間積み重ねてきたものに対する自信でもあった。
「10年前はフェード1本だったけど、オーガスタはドローを打たなきゃいけないと、今ははっきりわかっている。だからとても楽しみです」
そういえば、マッチプレー初日にスピースを破って金星を上げ、会見に呼ばれたときも谷原はこう言っていた。
「昔からショートゲームは好きだけど、ティショットは良くなかった。でも最近はティショットが向上してきて、ゲームプランが作りやすくなった」
そして、4位になった最終日の夕暮れには、さらにこんな言葉を口にした。
「ティショットがうまく打てれば、自分はどのぐらいの位置で戦えるのか。それを知りたい。そしてマスターズでも日本でも、もう少し自信を持ちながらやれたらいい」
そう、もっと自信を持っていい。日本の賞金王と世界50位を逃してからの、1年間の努力。
いや、マスターズ初出場から2度目の出場を決めるまでのこの10年間の努力。
いやいや、アメリカに挑み、撤退し、戦い方を変えた12年前から現在に至るまでのすべての努力は、ずっとずっと諦めずに歩んできた谷原だからこそ、絶対に報われる。
そう信じて、オーガスタに挑む谷原を眺めたい。