フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
今季の世界選手権は時代を変える!
羽生結弦の王座奪還と女子の五輪枠争い。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2017/03/29 07:00
王座奪還を目指して徐々に調子を上げてきている羽生。若手の急成長も話題だが、それ以上に羽生自身が自らに挑戦し続けているという事実に驚かされる。
平昌五輪における「3枠」維持を目指す女子。
女子は、宮原知子が股関節の疲労骨折からの回復が間に合わず、欠場となった。エース不在の中で、日本女子が来季の五輪で3枠を獲得できるかどうかは、トップ2選手の順位にかかってくる。最大数の3枠を得るには、2人の順位合計が13以内が条件。6位と7位が、ギリギリの線だ。
ファンにとっても関係者にとっても、心拍数が上がりっぱなしの大会になりそうである。だがもっともプレッシャーを感じているのは、もちろん本人たちに違いない。
17歳の三原舞依は、シニア世界選手権初挑戦とはいえ、四大陸でベテラン勢を退けて手にしたタイトルの価値が生きてくる。
ヘルシンキでも再び良い演技を見せたなら、ジャッジたちも高いスコアを出す心の準備もできているだろう。また先日の世界ジュニア選手権で、同じリンクでトレーニングをする良きライバルの坂本花織が銅メダルを獲得したことは、本人にとって刺激になったに違いない。
メダルを目指す勢いで、怖いもの知らずの演技を見せて欲しい。
樋口新葉の勝負勘、本郷理華の経験に期待!
今シーズン、シニアデビューをした16歳の樋口新葉も、世界選手権は初挑戦となる。
だが世界ジュニアの表彰台に2度上がっている彼女には、大舞台での勝負勘がある。持ち前のスピードを生かして大きなジャンプを思い切り良く決めれば、最終グループに食い込むことも可能だ。
補欠から繰り上げになった20歳の本郷理華は、今回が3度目の世界選手権となる。女子の代表の中で唯一世界選手権を経験している先輩として若い2人を引っ張り、落ち着いた演技を見せて欲しい。
日本勢の前に立ちはだかるのは、エフゲニア・メドベデワ、アンナ・ポゴリラヤ、マリア・ソツコワのロシアの3人。
あとはアメリカのアシュリー・ワグナー、イタリアのカロリナ・コストナー、そしてカナダのケイトリン・オズモンドあたりのベテラン勢になるだろう。
楽な戦いではないが、勝負はやってみるまでわからないものだ。いずれも実力を存分に発揮して、後悔のない演技を滑りきってもらいたい。