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原口元気とゴールの微妙な距離感。
代表では量産、クラブではまだ1点。

posted2017/03/23 12:40

 
原口元気とゴールの微妙な距離感。代表では量産、クラブではまだ1点。<Number Web> photograph by AFLO

EL出場圏にいる好調ヘルタでも、原口元気の役割は確固たるものだが、攻撃面での存在感が増せば、さらなるステップアップも望める。

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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 今季のブンデスリーガで最も良いスタートを切った日本人選手は原口元気だった。在籍3年目のヘルタ・ベルリンでレギュラーの座を手中に収めると、開幕から2戦連続でブンデスリーガ公式サイト、キッカー誌が選出するマンオブザマッチに輝いた。第2節のインゴルシュタット戦では2アシストと目に見える結果も残している。

 とりわけ際立っていたのはスピードや運動量を活かした攻守に渡る活躍で、地元メディアは「スーパー・ゲンキ」と称え、パル・ダルダイ監督も教え子の成長ぶりに目を細めていた。第9節のホッフェンハイム戦前には、敵将ユリアン・ナーゲルスマンから「原口は今のブンデスリーガで最もホットな存在になっている」と称されたほどだ。

ドルトムント撃破には原口の守備が効いていた。

 好調の要因について、当時の原口は『ベルリン新聞』のインタビュー内で、オフに取り組んだ肉体改造と「守備への取り組みがうまくいくようになったこと」を挙げていた。そのディフェンスへの意識は今もすこぶる高い。第21節のバイエルン戦では試合終了間際にピッチを退くまで、縦関係を築いていた右サイドバックのペテル・ペカリクとともにタッチライン際の防衛に奔走。一方で、チーム最多となる3本のクロスを放つなど、攻撃面でも小さくない存在感を放った。

 第24節のドルトムント戦では66分から1トップを務めながら、最後までディフェンス意識を下げなかった。チームがリードした71分からは、守備重視で逃げ切りを図るチームの方針に従い、むしろ守りのギアを一段上げた印象だった。

 精力的なプレスで対峙した敵に時間とスペースを与えなかった原口は、選手の足が止まりがちな終盤もサボるどころか、身を挺したスライディングを敢行するなど奮闘。今シーズンの自己最長となる走行距離(11.61キロ)を記録する働きを披露し、強豪の撃破に大きく貢献してみせた。

【次ページ】 守備は完璧だが、ゴールが遠い。

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