“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
選手権決勝5-0から62日目の再戦。
青森山田と前橋育英の因縁は続く。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/03/20 07:00
選手権では、2回目の決勝進出を果たした前橋育英を、同じく2回目の決勝進出だった青森山田が下して初優勝を飾っている。
両校ともにベストメンバーでは無かったが……。
前橋育英は日本高校選抜に選出されたDF渡邊泰基、松田陸、FW飯島陸という、昨年からのレギュラー3人が不在だったが、後はベストメンバー。
青森山田も黒田監督が不在で、決勝に出場した新2年生MF檀崎竜孔を怪我で欠く以外は、新チームのベストメンバーで臨んだ。
高校選手権決勝のピッチに立っていた選手は前橋育英が4人(田部井兄弟、CB角田涼太朗、DF後藤田亘輝)、青森山田が3人(CB小山内慎一郎、郷家、MF堀脩大)。お互いの意地が、試合開始早々、激しくぶつかり合った。
前半押し負けていた青森山田が後半に逆襲!
開始6分で早くもイエローカードが出されるなど、公式戦さながらの闘志むき出しの戦いが繰り広げられる。
先制したのは前橋育英だった。
22分にカウンターからMF塩澤隼人が強烈なシュートを突き刺すと、27分にはゴール前の混戦から、再び塩澤が豪快に蹴り込んで、一気にリードを2点に広げた。
これで勢いに乗った前橋育英がさらに猛攻を仕掛け、34分には決定的なシュートを角田が放つも、これは青森山田の新守護神・飯田雅浩のファインセーブに阻まれた。
「相手に向かって行くパワー、打ち勝つパワーが必要だ。お前達はまず自分に打ち勝てていない。自分に勝てない奴が前橋育英に勝てる訳が無いっ!」
ハーフタイムに正木ヘッドコーチから激しい発破をかけられた青森山田が、後半になってその底力を見せつける。
郷家と堀のツーシャドーを軸に、中盤でリズムを掴むようになると、65分(試合は35分ハーフ)にCB小山内の縦パスを、堀がDFを背負いながら受けて、反転からスルーパス。これに反応した2年生FW三國ケネディエブスが、長い足を伸ばして、GKとの1対1を制し、反撃の狼煙を上げるゴールを決めた。