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Vリーグの新制度ゴールデンセット。
最後の25点で全てが決まる緊張感!
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2017/03/17 11:30
昨季の王者に輝いた豊田合成は、今年もレギュラーラウンドでは1位。ファイナルで待つ東レは何を考えているのだろうか。
2戦目は一転して、豊田合成が3-0で勝利。
豊田合成は本来のプレーを取り戻し、逆にジェイテクトには硬さが見え、つなぎのミスが出るなど波に乗れず1、2セットを失った。そこで、ジェイテクトの選手には暗黙のうちにある計算が働いた。
「3セット目は、なんとなくマテイさんが、あ、切り替えたな、というオーラを出していた」とある選手は振り返る。
欧州チャンピオンズリーグやイタリア・セリエAなどで数多くの優勝経験があるジェイテクトのカジースキ・マテイには、第3セットから3セット連取を狙うより、ゴールデンセットの1セットにかけたほうが、ファイナルに進出できる可能性が高いという読みがあったのではないか、とその選手は言う。
「今日の豊田合成は状態がよくて、昨日とは真逆の状態だったので。決して諦めたわけではないんですが、割り切りはありました。3セット目の後半は、ゴールデンセットにすべてをかけよう、という意識でした」
1点ごとにスタンドから起こる大歓声。
結局、第2戦は豊田合成がセットカウント3-0で勝利。1勝1敗となったため、15分間のインターバルをはさんで、ゴールデンセットが実施された。
その15分間、選手たちは少々戸惑いの表情を浮かべながら、コンビを確認するなどして試合開始を待った。
そしてゴールデンセットの立ち上がり、ジェイテクトはため込んでいた力を解放した。浅野のスパイクやカジースキのサービスエース、金丸晃大のブロックなどで7-3とスタートダッシュに成功した。
1点ごとにスタンドからは大歓声が沸き起こり、明らかにそれまでのセットとは会場の“熱”が違っていた。
最初その熱に飲まれていた豊田合成も、徐々に本来のプレーを取り戻す。高松卓矢が強力なサーブを打ち込み、イゴール・オムルチェンや山田のブロックで10-9と逆転。その後、ラリーをイゴールのスパイクでものにすると、豊田合成のベンチは総立ちになってガッツポーズ。両チームともヒートアップし、一進一退の好ゲームとなった。