フランス・フットボール通信BACK NUMBER
優勝翌年に降格してしまうのか……。
ラニエリ解任で激震、レスターの宿命。
text by
ティエリー・マルシャン&フィリップ・オクレールThierry Marchand et Philippe Auclair
photograph byRICHARD MARTIN
posted2017/03/08 08:00
レスターの優勝で一躍“名将”の仲間入りを果たすはずだったラニエリ。各国トップリーグでの監督経験は豊富だが、優勝したのはレスターが初めてである。
なぜ昨季優勝できたのか……理解していないのか?
今のレスターは進路を見失い迷走している。
1月1日からリバプールをホームに迎えるこの月曜(2月27日)まで、リーグで勝ち点をほとんど得ていないばかりかゴールすら決められていない。1年前の同じ時期と比べると、勝ち点で32も下回っている。
だが、それは、本当に驚くべきことなのだろうか。
2015年4月3日、このチームはリーグ順位表の最下位を漂っていた。ブービーとも勝ち点差が離れている。そこからどんな奇跡が起こったのか。
2年前に誰も理由をわからないままかろうじて降格を免れたチームが、いったいなぜ世界最高峰のリーグを翌年制覇することができたのか。この1年に起こったことは、それを考えたときにこのチーム本来のあるべき姿であったとは言えないのか。
スピリッツは昨季とまったく変わってしまった。
昨季リーグ優勝を果たしたレスターは、全員がファイティングスピリットに溢れてはいたが、4人の選手に依存するチームだった。
その4人のうちカンテはすでにチームを去り、シュマイケルは今季2カ月近くも負傷離脱が続いた。
昨季24得点をあげたバーディーのゴール決定率は、ほぼあり得ないことだがリオネル・メッシに匹敵していた。だが、今季はというと……。
そして17ゴールと11アシストでプレミア最優秀選手に輝き、バロンドールでも第7位に選ばれたマフレズは、昨季のレベルとは及ぶべくもない。今季の彼が初アシストを記録するのは、11月まで待たねばならなかった。
奇跡を生んだ化学反応は消え失せ、驚きは何もない。
失ったのは(カンテを別にすれば)ひとりの監督だけだが、同時にチームのコレクティブな価値や恐れを知らぬ敢闘精神、強固なソリダリティも失われてしまった。