フランス・フットボール通信BACK NUMBER
優勝翌年に降格してしまうのか……。
ラニエリ解任で激震、レスターの宿命。
text by
ティエリー・マルシャン&フィリップ・オクレールThierry Marchand et Philippe Auclair
photograph byRICHARD MARTIN
posted2017/03/08 08:00
レスターの優勝で一躍“名将”の仲間入りを果たすはずだったラニエリ。各国トップリーグでの監督経験は豊富だが、優勝したのはレスターが初めてである。
なぜラニエリは解任されたのか?
しかし監督にとっては、勝利はしばしば棺桶に片足を突っ込むことでもある。
プレミアの覇者はいうに及ばず、チャンピオンシップやFAカップ、フランス・リーグカップの覇者たちが1年後にどうなっているか。ラニエリにも、もはや座るべき場所がなくなってしまったのだった。
とはいえ彼の身に起こったのは、突拍子もないことであったと同時にロジカルでもあった。
解任はクラブの評議会から全力でサポートすると支持された2週間後、セビージャでのチャンピオンズリーグ・ラウンド16・第1戦に惜敗(1-2)した翌日のことであった。
イギリス人に愛されたイタリアの好々爺は、選手以外の誰もが驚きを隠せないなか、長期休暇を受け入れざるを得なかった。
選手たちは何も知らないままに、監督は解任された。
選手たちはその数時間前に、クラブのオーナーでタイの大資産家であるビチャイ・スリバッダナプラバが、数週間前からすでに彼の解任を決めていたことを知らされたのだった。
そこに事前の謀議は何もなかった。
ロッカールームのリーダーたちの携帯に、秘密裏に通知するだけで十分だった。
謀略は数カ月にわたり続いていた。ただ、実行のタイミングが最悪だった。
チームが今季最高ともいえるパフォーマンスを見せた直後であり、またそのやり方もうまいとはいえなかった。
ニュースはSNSを通じてあっという間に広まり、奇跡の体現者であったレスターは、再び凡庸なクラブの中に埋もれたばかりか、さらに酷い運命が待っているかも知れない。
では、転落は、どのようにして起こったのか。
順を追って辿ってみたい。