フランス・フットボール通信BACK NUMBER
優勝翌年に降格してしまうのか……。
ラニエリ解任で激震、レスターの宿命。
text by
ティエリー・マルシャン&フィリップ・オクレールThierry Marchand et Philippe Auclair
photograph byRICHARD MARTIN
posted2017/03/08 08:00
レスターの優勝で一躍“名将”の仲間入りを果たすはずだったラニエリ。各国トップリーグでの監督経験は豊富だが、優勝したのはレスターが初めてである。
高級ホテルでセレブな暮らしを満喫した選手たち。
そのホテルはシカゴとロスアンゼルスを繋ぐルート66の終点にあった。
「シャッターズ・オン・ザビーチ」は、誰もが一度は泊まってみたいと夢見る憧れの高級ホテルだった。目の前にはサンタモニカのビーチが広がっている。リゾートにも、また余生を過ごすにも格好の場所である。
プレミアリーグという厳しい北極探検に向けて、シーワールドのペンギンたちとともにカリフォルニアでのんびりと準備する。それこそレスター・シティが昨夏におこなったことだった。
イングランドチャンピオンという望外の栄光を手にした彼らは、カリフォルニアの輝く太陽のもとでセレブな暮らしを満喫していた。それはまるで宝くじで一攫千金をモノにしたにわか億万長者が、その後の人生を何も考えずに今だけを享楽的に生きているかのようだった。
丘から見渡せる3つのプールのひとつでは、岡崎慎司とクリスティアン・フクスが、俳優のウィル・フェレルと記念写真を撮っている。ウェズ・モーガンは、海賊の衣装をまとった自身の姿を特別ラベルにしたディアジオ社のラム酒「キャプテン・モルガン(モーガン)」を持ってご満悦である。そしてクラウディオ・ラニエリといえば、レスターの自宅の壁にフレスコの肖像画を掲げ、それにジュリアス・シーザーの有名な言葉「来た、見た、勝った」のタイトルをつけて悦に入っていた。
まるでイソップ寓話のキリギリスのような生活。
夏の間、レスターの選手や監督は、ずっと歌い続けていたのだった。
ガラッと変わった、プレシーズンマッチの対戦相手。
そして彼らは、つかの間のアメリカ遠征(ロスアンゼルスでパリ・サンジェルマンと対戦)とヨーロッパ遠征(ストックホルムでのバルセロナ戦とグラスゴーでのセルティック戦)を敢行し、ウェンブリーのコミュニティシールドでマンチェスター・ユナイテッドと対戦した。
1年前のプレシーズンマッチの相手はリンカーンとマンスフィールド、バートン、ロザラムである。最大でも僅か1万2000人収容スタジアムでの試合であった。