猛牛のささやきBACK NUMBER
金子千尋を巡る三角関係に終止符を。
伊藤光の座を狙う若月健矢の責任感。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2017/03/01 08:00
2016年はオリックス捕手陣で最も多くの試合に出場した若月健矢。エース金子とのコンビを確立すればその地位は確かなものになる。
キャッチャーは、指1本に全てがかかっている。
この日、金子と若月を組ませた意図を、鈴木コーチはこう語る。
「光は金子と何年も組んでいるからわかるけど、若月は組むことが少なかったので、組ませて、金子と話もさせる機会を作ろうと。今後、どうなるかわからないわけだから」
まだ何も確定はしていない。打撃のいい伊藤はキャンプ中、一塁手や三塁手の練習もしたが、それは捕手での出場機会が減ることを前提とした措置ではなく、あくまでも“オプション”。「もちろん主はキャッチャー。光には経験があるわけだから、面白い競争になる」と鈴木コーチは言う。
それでも、若い若月に責任感を持たせるべく、昨シーズン後、鈴木コーチはこんな言葉を投げかけてきた。
「お前がしっかりしないとチームの勝ちはない。なんなら、監督、コーチ、全員の生活がお前の指1本にかかってるんだからな。そのぐらいの責任を持ってやらないといけないポジションなんだよ」
「しょっちゅう言われてますよ」と若月は苦笑するが、その重責を背負う覚悟はもうできている。
1カ月後の開幕戦でエースをリードするのは若月か、伊藤か。開幕マスクをめぐる争いからも目が離せない。