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筒香&坂本を導く松井秀喜の打撃論。
メジャー仕様か、自分らしさの徹底か。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/02/27 17:00
ソフトバンクとの練習試合で、初回に左前打を放った筒香。試合そのものは0-2で敗戦となった。
坂本、筒香、菊池、秋山はすでに準備万端か。
この4人は特別な意識もなくポイントも後ろでセンターから逆方向に強い打球を打てるスタイルができている。スタイルを変えることなくWBC向きの打撃ができる選手たちなのである。
一方で試合後の稲葉篤紀打撃コーチのこんな言葉も、確かに侍打線の核心を突いていると感じるものだった。
「あまり『つなぐ、つなぐ』と言う意識を持ちすぎて小細工しすぎると良くない。つながなければならない場面は、当然、出てくると思いますけど、自分の形で、今までやってきた自分のバッティングをするというのが第一。そこをあまり小細工すると、僕は良くないと思います」
例えば3度の走者を置いた場面で遊ゴロ、遊ゴロ併殺、中飛と倒れた中田翔(日本ハム)に、今さら右打ちでつなぎを求めてもムリということだ。中田に関しては、日本ハムでの練習試合を含めて、この試合までまだ1本も安打が出ていないことが気がかりだ。
打撃の状態が上がってきていないのは、初戦で無安打に終わった山田哲人(ヤクルト)にも言えることだった。ソフトバンク戦を見る限り、この2人に関してはとにかく自分のコンディションを上げていくことが本番までの最大のテーマになる。
中田や山田は、自分のスタイルを貫くべき。
そして実戦では中田や山田はムリにWBCを意識して打撃スタイルを変えるよりも、中田は中田らしく「自分が決める」という意識でフルスイングを、山田も山田らしく「来たボールにきちっと反応できる」状態に持っていくべきだろう。
メジャーの投手を意識するというよりは、自分の能力をフルに出せる状態に持っていくこと。その中でどういう使い方ができるかということだ。
侍ジャパンの究極の目標はもちろん世界一奪回にある。
だとするとあの松井秀喜さんでも「とんでもない世界」と感じたメジャーの投手たちが最後は相手となるはずなのだ。