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筒香&坂本を導く松井秀喜の打撃論。
メジャー仕様か、自分らしさの徹底か。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/02/27 17:00
ソフトバンクとの練習試合で、初回に左前打を放った筒香。試合そのものは0-2で敗戦となった。
侍ジャパン初実戦を終えて、考えるべきポイントは?
要は2人とも日本流では通用しない、「とんでもない世界」のメジャーの投手と戦える素地を、松井さんに教えられ、太鼓判を押された打者なのである。
2月25日に行われた侍ジャパン初実戦となるオープニングマッチ、対ソフトバンク戦は内容の乏しい試合だった。
特に打線は2番に入った菊池涼介(広島)が3安打とひとり気を吐いたが、この菊池以外には筒香の1本と合わせて4安打で無得点と寂しい結果に終わっている。
もちろんチームとしての初めての試合であり、今はまだ結果を云々する時期ではない。4安打も完封負けもことさら騒ぎ立てる必要はないだろう。
ただ、その一方で注視しなければならないのが、どの打者が松井さんの言う「とんでもない世界」の投手たちを相手にするWBC向きの打撃をできるか――即ちボールを引きつけて逆方向に強い打球を打つ意識と準備ができているかということを見極めることだった。
そういう視点で見ると2人の“愛弟子”は流石である。
侍ジャパンの4番も、主砲の貫禄を見せつけている。
3番に入った坂本は、3打数無安打に終わったが、しっかりセンターから右方向を意識した打撃で対応力を見せていたのが心強い。
また昨年3月の台湾戦以来の「4番」に座った筒香も、1回2死一塁の第1打席にカウント2ボール2ストライクから「追い込まれていたので逆方向を意識した」と左前に弾き返すと、その後も2四球を選んで主砲の貫禄を見せつけている。
この2人以外にも目についたのが3安打を放った菊池の打撃だった。
「特打では右に左に遠くに(打つ)と練習しているけど、実戦で投手に対したらセンター中心に打てたのが良かった」
本人がこう語ったように、決して強引にならずにボールを引きつけてセンター返しを意識した3安打は、手元で激しく動くボールにも、何とかできるところを見せたものだった。
逆方向への意識をしっかり見せて3本の左飛を放った秋山翔吾(西武)も、本番への期待感を抱かせる内容だった。